【山本太郎対談・試し読み】「都構想」の先取り。衛生研究所の統合・民営化

こんにちは。
大石あきこです(*^ ^*)

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(目次と試し読み一覧はこちら

以下は、山本太郎さんとの対談の、試し読み記事です。

今、コロナウイルスの感染拡大が国内外で懸念されています。
感染症にパニックにならずに、冷静に感染経路を調査し、感染拡大を抑えられるのは、全国の「衛生研究所」と保健所の役割。その研究所を全国で唯一、民営化してしまった大阪府と大阪市について、対談しています。



■「都構想」の先取り。衛生研究所の統合・民営化

大石「都構想」の先取りとして、衛生研究所の例をあげます。
例えば、結核とか、食中毒とか、感染症ってありますよね。その感染の源、つまり、菌がどこから発生してきたのかを特定するための衛生研究所という機関があるんですけども、そういう地味な、しかし重要な機関のお金をどんどんどんどん削減してきました。


山本 へぇぇ。


大石 人とか予算とか全然つかない(下図は環科研・公衛研まもれネットワーク提供資料)。
そして2017年には全国で唯一、民営化されました。独立採算でやっていけと。

 

山本 IMFみたいなやつらですね。公衆衛生を犠牲にしてでもコストカット。

大石 IMFも公衆衛生を犠牲にしたんですか? 共通点があると?

山本 そう。新自由主義という点で同じ。それはあとでお話しますので、衛生研究所について続けてください。


大石 この流れは、維新が始めたわけではなく、1990年代以降ずっと日本全体で進行していたことです。金額の削減どころか、大阪でまだまだ必要な労災とか公害の研究も廃止や縮小されてきました。労働衛生部が2003年に廃止され、実質的に労災の研究はなくなるなど。維新は、大規模リストラでこの流れを完成させようとしている、というのが正解だと思います。

グラフ:大阪市の人口増加と衛生研究所の人員減(環科研・公衛研まもれネットワーク提供)
グラフ:大阪市の人口増加と衛生研究所の人員減(環科研・公衛研まもれネットワーク提供)


山本
 維新の以前から横たわる問題だってことですね。


大石
 衛生研究所の民営化がいわれだしたときには、すでに、中核市の多くは、衛生研究所の運営ができていない状況になっていて、大阪府がある意味で超法規的に肩代わりして支えていました。
そういう市町村の窮乏自体が問題なのに、統合民営化にすればハッピーだとかいって問題の本質を煙に巻いて、全体を崩壊させていくのはおかしなことです。
広域化と分権化のありかたを論じる以前に、この国で30年間かけて進行した、基礎自治体である市町村の崩壊という問題がまずある。日本の地方問題。

山本 そうかぁ。僕もいま全国ツアーをしているんですが、できるだけ地方で起きている問題や、当事者の声を聞いていくようにしています。農業や地元の製造業が衰退していたり、少子化や介護の問題が深刻であったり、矛盾が凝縮していると思いますんで。

大石 そうなんですよね、市町村に必要な支出が全然足りていない。これは基本的には国が責任を持つべきことだと私は思います。
この30年間、グローバル競争に勝つために大企業や金融資本の優遇を国策として進めてきた結果、東京一極集中と地方の疲弊がある。地方の自己責任ではない。
だから今こそ、国がそれを反省して、責任をもって、市町村の財政的な体力をしっかり回復させるべき。
そうすれば、あとは広域か分権かは、それぞれの地方が柔軟に協力して考えられる。

私はそれが地方自治の本質だと思います。でも、維新はその本質を欺く言葉として、「広域化」「分権化」を使い分ける。
やっていることは「地方の自己責任論」の助長であり、安倍政権とグローバルビジネスに都合のいいだけの、組織の血の入れ替えや民営化をやっている。


山本 なるほど。衛生研究所の話に少し戻って、民営化されていく過程で、現場でどんなことが起きたんでしょうか?

大石 衛生研究所は、大阪府立も大阪市立もあったんですけど、「府立と市立がある」というそこだけを見て「これは解消すべき二重行政だ」「統合すれば、経費削減できる」と維新が言い出した。でも、衛生研究所の担当エリアは法律で決められていて一般市町村エリアは大阪府が担当、政令指定市の大阪市エリアは大阪市が担当。それぞれ設置義務がある。担当エリアは一切かぶらない。

山本 法律に基づいて、府立と市立が異なる担当エリアで設置されていた、と。

大石 はい。同じような機能の施設を統合すると、スケールメリットがあるのでは、という発想まではわかります。案の定、「統合によるスケールメリットで、予算が一千万円削減できる」と言い出した。ところが、ふたを開けてみると、建物を統合しないので、スケールメリットはなかった。それでも無理を通して、逆にムダなシステム経費を随意契約で6千万円もかけて。さらには「100億円投資していい研究所にする」とか突如打ち出した。

山本 ひどいな、その場しのぎで180度違うこと言い始めてる(笑)。

大石 もう、わけのわからないことになってるやん!って悲惨に思いますけど、賛成多数で通ってしまう。

山本 公衆衛生分野でどんな弊害が生じてます?

大石 先ほど言ったように、もともと役所が必要な予算を全然つけなくなっていたから、府でも市でも技術継承ができず、必要な消耗品も機材も不足して、ジリ貧状態です。それを民営化でさらにリストラして、独立採算にするという策。「お前らは要らない」と言われたようなもので、失望して転職した研究員もいます。しかも民営化した研究所の事業目的が、高度で儲けられる医療ビジネスのための研究とか。目的も変わってしもてるから(怒)。
「全国唯一、生レバーが食せる街にしよう!」とかね。

山本 公衆衛生やいうてるのに(苦笑)。

大石 府民の生命・安全を守る機関の目的を、海外の富裕層向けのグローバルビジネスに変える。そういうイデオロギーというのかな。公的機関もビジネスで儲けるんだっていうイデオロギーで染めぬこうとする。本来の公的な業務は、彼らからしたら無駄なもの、で、削るべきもの。

山本 それがいったいどういう影響を及ぼすのかっていうのは想像しづらいじゃないですか。

1997年のアジア通貨危機の時にIMFの管理下になった国がどうなったかって書籍を読んで驚きました。
IMFや国際機関に従って経済危機時に「財政緊縮」を行った国々では、 貧困率が増加したり、公衆衛生環境が悪化したと。

緊縮策では公衆衛生といった予算からどんどん削られて、公務員も削減された。例えば、タイではエイズが広がらないようにコンドームの配布だったり、いろんな対策を打ってたんですが、公衆衛生のコストがカットされてそれができなくなった。で結局、感染拡大を招く結果になってしまった。
他にも、インドネシアではIMFの要求する緊縮を受け入れた結果、保険支出が削られ、乳幼児死亡率が急上昇しました。緊縮で景気が悪化し、国民も節約を強いられ、10-19歳の病院の利用率が3分の1減少するまでに陥った。
一方でIMFを拒否したマハティールのマレーシアでは公衆衛生に対する支援を逆に強化したおかげで悲惨な状況は回避した。
IMFは緊縮の弊害を98年段階で極秘報告で把握していましたが、最終的に過ちを認めました。10年後の話だそうです。

 

大石 さっき言ってた「IMFみたい」ってそういう意味なんですね。コストカットの名のもとに公衆衛生を犠牲にする。同じですね。

山本 疫病の予防など、地味だけど重要な役割を果たしている仕事をないがしろにするというのは、命を守る気がないっていうのを宣言しているのと同じです。

大石 大阪は結核の発症者が多いんですが、衛生研究所では結核患者が出たときに、どこから感染してきたのかを、DNAレベルで分析して追跡したりしてました。
他にも、大きなニュースになったんですが、2000年に1万5千人が謎の嘔吐や下痢を発症したとき、その毒素の発生源が雪印乳業の工場が生産した低脂肪乳だと突き止めたのも、保健所と衛生研究所でした。通常の検査では見つからないので、研究員が新たな抽出方法を確立して突き止めたんです。行政的には、研究所の分析結果を根拠に、これ以上感染が広がらないように、工場の操業を停止させました。リストラしていては、こんなことができなくなる。

ここから言えるのは、ビジネスを目的にしたり、リストラのために民営化すると、住民の命を守るという重要な役割が果たせなくなるということ。それに、工場を停止させたり、感染した人を隔離したりするのは、非常に重い判断であり、公権力行使を伴うものです。例えば、科捜研ってあるじゃないですか。警察の捜査の科学的な裏づけを行う機関で、正式には科学捜査研究所。衛生研究所はそのウイルス版みたいなところなので、民営化してしまって、信頼性を担保できるのか。そんな真面目な話が大阪から消え失せようとしています。

山本 具体例を聞かせていただいて、維新のやり方がはっきりと見えてきましたね。今の安倍政権がやっていることを先取りしている感じがします。

ーーー
試し読み記事はここまで。

山本太郎さんファンのかた、「大石ばっかりしゃべりやがって」?
すみませーん。数日後にリリース予定の記事は、山本太郎さんがメインでお話してくれます。
お楽しみに!


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著者 大石あきこ(おおいしあきこ) 1977年大阪市生まれ、大阪育ち。2002年大阪府入庁。就職氷河期、イラク戦争、リーマンショック、3・11大震災と、時代の波に翻弄されながら、ときに抗いながら、16年間働く。2018年10月末退職し、大阪市淀川区で「音くらしデザイン研究所」設立。2019年春の大阪府議会議員選挙に、淀川区から立候補するも落選。小学生の娘と夫の3人暮らし。
著者 大石あきこ(おおいしあきこ) 1977年大阪市生まれ、大阪育ち。2002年大阪府入庁。就職氷河期、イラク戦争、リーマンショック、3・11大震災と、時代の波に翻弄されながら、ときに抗いながら、16年間働く。2018年10月末退職し、大阪市淀川区で「音くらしデザイン研究所」設立。2019年春の大阪府議会議員選挙に、淀川区から立候補するも落選。小学生の娘と夫の3人暮らし。

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