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2022年12月6日【国土交通省との意見交換】大阪IRカジノの審査について

12月6日に、大阪IRカジノの審査について、11月4日11月16日の衆議院内閣委員会の質疑に引き続き、担当省庁との意見交換を行いましたので報告します。

夢洲の土壌問題(土壌汚染、液状化、地盤地下)について、事前に質問を文書で出して、12/5に文書で回答をいただき、12/6に意見交換をしました。

大石あきこ事務所からの質問(2022/12/2)に対し、観光庁回答(2022/12/5)、観光庁意見意見交換(2022/12/6)の順に記載します。★=大石あきこ、◎観光庁担当者の回答(概要)です。

オープンな議論になるよう皆さんの注目やご意見を募集しています!

 

「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」の審査に関する質問・回答(れいわ新選組・大石あきこ)

1. 大阪府市とIR事業者との基本合意についての情報公開

★大石あきこ事務所からの質問(2022/12/2)

 大阪府市とIR事業者は、国への認定の申請をするに先立ち、実施協定(案)、立地協定(案)、事業用定期借地権設定契約書(案)について基本合意を結ぶとしている。11月4日の質疑で、公開を求めたところ、西田政務官は「それ自体は国へ提出義務があるものではありませんので、その公表については、一義的には文書作成者において判断すべきであるため、国としてはお答えは差し控えるべく立場にある」と答弁した。その後、大石事務所からの問い合わせには、「国交省としては『基本合意書』を受け取っていない。出せない理由については、文書で回答する」と回答のあったところである。以下、(1)から(5)について質問する。

(1)「出せない理由について」の回答がまだなので、具体的理由について回答されたい。

(2)「受け取っていない」と言うが、基本合意の一部にあたる「実施協定(案)」は、申請の添付書類と定められているにもかかわらず、添付されていないのか。添付されていないとすれば請求すべきではないのか。

(3)立地協定(案)、事業用定期借地権設定契約書(案)についても、【要求基準3】IR区域の一体的な管理、【要求基準4】IR区域の土地の使用の権原・IR施設の設置根拠についての妥当性の資料に該当し、国への提出は必須ではないか。

(4)「大阪府市が判断するもの」と言うが、大阪府市の住民への以下3点の対応について把握しているか。この対応は「住民合意」とはほど遠い、問題のある対応であり、国として、住民合意のために是正ないし対応するよう指導すべきではないか。

①市民の情報公開請求に対して決定の延期がされていて、隠匿されている。

②2022年10月18日の、夢洲IR差し止め訴訟第1回口頭弁論でも、大阪府市は「一切開示しない」と発言し、問題になっている。

③2022年11月21日現在、大阪市会にも市民から公開を求める陳情書が300通提出されている。

◎観光庁回答(2022/12/5)

(1)(2)(3)

 ○ 先日お伝えしましたとおり、そもそも国交省としては『基本合意書』という文書を受け取っておりませんので、(貴事務所に『基本合意書』を提出いただきたいというご趣旨であれば)ご提出することは困難です。

 ○ なお、お示しいただいた3点の書類のうち、「実施協定(案)」と「事業用定期借地権設定契約書案)」については、当該資料の作成主体である申請者から少なくとも認定審査中は公表されない資料という要請のうえで提出されております。一方で、「立地協定(案)」自体については、法令上、国への提出が必須な書類ではございません。

 

(4)列挙いただいた3点については把握しております。現在申請された区域整備計画の審査中であることから、これら申請者による個別の対応について、ご指摘のような指導は行いませんが、一般論として、IRの整備に当たっては、その必要性について地域の理解を得ることは重要であり、引き続き、申請者による対応動向を把握してまいります。

 

(5)先述のとおり「実施協定(案)」と「事業用定期借地権設定契約書(案)」については既に提出がされております。『基本合意書』という書類であるかどうかを問わず、審査に当たって必要が生じた内容については、その都度提出を求めながら、審査を進めております。

観光庁意見交換(2022/12/6)

(1)(2)(3)について
★「基本合意書」なる名前はともかく、「実施協定(案)」と「事業用定期借地権設定契約書(案)」を提出してください。

★大阪側が公表しないよう要請しているからといえば、なんでも非公表なのか。

 

◎大阪側が要請しているからではなく、汲み取りつつ、国として判断する。

★透明が原則。公開を検討してください。非公開の場合は非公開の理由を。

◎ご依頼は承知した。

 

(4) について

★①~③の申請者の対応は「地域の理解を得る」対応なのか?どう把握しているか。

◎審査の基準にかかることになるので、答えられない。府民、市民からの陳情もいただくし、アンテナ高く把握していく。

★把握したうえでの対応は?

◎大阪府市に伝えるというより、審査委員に事実関係として情報共有する。

 

(5)について

 ★大阪市は、土地対策の詳細と費用負担は、「立地協定、事業用定期借地権設定契約又は市及びSPCが別途締結する書面のいずれかにおいて、その詳細を規定する」としており、土壌対策を規制するものになる(IR事業者はぜんぶやらせたい、大阪市はケチりたい)。必要な土壌対策が取られるのか、審査対象である。立地協定(案)を入手し、審査すべき

参照:大阪市住民監査請求 P72-73

 

◎立地協定(案)について求めてはいないが、必要な情報について、名前にかかわらず出してもらっている。

★審査に必要な資料ではないか?

◎個別のことは言いにくい。承る。

★また聞く。

2.夢洲の液状化・地盤沈下対策の検討状況

★大石あきこ事務所からの質問(2022/12/2)

以下、(1)から(3)について質問する。

(1)2022年11月14日の毎日新聞報道によると、大阪市の松井市長は、「(建設予定地の)地盤について必要な書類の提出を求められて協議している」「地盤について液状化など問題点が指摘されているので、国からも解決の手段や時期、対応策を求められている」と発言しているが、いつ、具体的にどのような書類を求めているのか。また、大阪市からの回答状況はどうなっているか。

 

(2)大阪府市は、2021年12月にIR予定地の液状化対策について専門家からの助言を受けることを目的として、「IR予定区域等における液状化対策に関する専門家会議」を設置しているが、その開催状況、専門家の意見はどのように確認しているか。

 

(3)上記(2)の専門家会議の座長である大島昭彦氏(大阪市立大学大学院工学研究科 教授)は、公益社団法人 地盤工学会関西支部の「夢洲の地盤性状と沈下性状に関する研究委員会」の委員長でもあり、2021年3月26日までに委員を公募し、3年間をめどに検討を行うとしている。2022年8月に「夢洲2区(万博用地)の浚渫粘土層の地盤特性と圧密沈下予測」が公表されたが、そこでは「本研究では、浚渫粘土層を対象とした圧密沈下予測を示したが、最終的な盛土荷重によって、その下に堆積している沖積粘土層および洪積粘土層が長期的に沈下していくので、今後はその圧密沈下予測を行う予定である。」と書かれている。同委員会の「夢洲 1~4 区の地盤性状と今後の長期沈下の検討」の状況をどのように確認しているか。

◎観光庁回答(2022/12/5)

(1)現在申請中の区域整備計画の具体的な審査内容に関することであるため、詳細なコメントは差し控えさせていただきますが、夢洲のIR 用地における土壌汚染対策、地盤沈下、液状化といった課題について、数度にわたり、事実関係等の説明や関連資料の提出を求め、その内容について確認しているところです。

 

(2)ご指摘の専門家会議については、大阪府・大阪市 IR 推進局より、これまでに計2回開催されていることを確認しております。会議の内容については後日に公表されている議事概要により確認しております。

 

(3)ご指摘の研究委員会の活動については承知しており、今後、内容に応じて参考にすべく、検討状況を確認する予定です。その際は、今後、事業設計の具体化が進み詳細設計がなされる段階でないと扱い難い事項かどうかの峻別も必要に応じて行ってまいります

観光庁意見交換(2022/12/6)

(1)について

★どのような説明を求めているのか詳しく聞きたい。松井市長の認識はただしいか?

◎ご指摘の大阪市松井市長の「国からも解決の手段や時期、対応策を求められている」というご発言は、概ね事実です。現在、夢洲IR用地における地盤沈下、液状化などの課題について、国として大阪府市に事実関係、対応策等の説明、関連資料の提出などを求めてきているところです。

 

(2)について 

★議事概要で確認するな、資料を取り寄せるべき。公開すべき。

★計2回は、1回目は座長を指名するなどの書面開催で、実質令和3年12月3日の1回だけで「事業者の追加調査の結果などを踏まえ、引き続き議論を深めていくことについて了承された」という結論だけ。

 ◎専門家会議の資料としては取り寄せていないが、液状化対策については審査対象にしているので資料は取り寄せる。

 

(3)について

★「内容に応じて参考にすべく、検討状況を確認する予定」「峻別も必要に応じて行ってまいります」とはどういう意味?

◎書いていただいているように、研究会は3年間かけて検討を行うとしているが、認定されたとして、その後、(IRの建物の)事業設計、詳細設計を行う段階でどのような影響があるか・・・

★沈下予測がでないと、対策方法も費用も決まらないのでは。何が「扱い難い」のか?

◎研究委員会の研究内容など・・・。

★建物の設計の前に地盤沈下対策やりますよね?認識がおかしくないか。

◎研究会の検討が終わらないと認定審査ができないのかどうかを峻別、見極めをしたい。

★研究会の報告が出ないと認定できないですよ。

3.審査委員会での審査状況

★大石あきこ事務所からの質問(2022/12/2)

以下、(1)から(6)について質問する。

(1)あらためて確認したいが、IR予定地の土壌問題について、審査委員会設置要綱第3条で規定する「専門的な知識と経験を有し」「公平かつ中立な判断をすることができる者」とは、山内弘隆委員のことか。

(2)オブザーバーの規定について、「特段の必要があると認めるとき」に出席させることができるとある。10月28日にオブザーバー3名を選定したということだが、どのような「特段の必要」があるのか。また、その3名とした選定理由は何か。

(3)オブザーバーから、意見又は説明を求めることができることとしているが、審査委員会設置要綱では、「オブザーバーは審議には参画しない」としている趣旨は何か。オブザーバーの意見も含めて、審査委員が責任をもって専門的かつ公平中立に審議するという意味か。

(4)オブザーバーを10月28日に選定したとのことだが、その後、実際に審査委員会へ参加し、意見・見解の聴取をおこなったのか。また、今後、いつの時点で意見・見解の聴取が行われるのか。IR予定地の土壌問題の検討資料は、来場者の安全性や、自治体の財政問題にも大きく関わることであり、他のIR事業計画との中立性という審査委員会の非公開理由にもあたらないと考えるがいかがか。

(5)オブザーバーから意見の聴取は、上記2.(2)(3)のIR予定地の地盤性状や長期沈下の検討をもとに行われるか。そうでない場合は、何をもとにした意見か。

(6)オブザーバーは選定した3名に限定するのか。市民から推薦等があっても、他の有識者から意見を聴取することはないのか。

◎観光庁回答(2022/12/5)

(1)IR予定地の土壌問題については、先日お伝えさせていただいた有識者3名からの専門的な意見・見解を聴取することとしています。審査委員会においては、有識者の意見・見解の十分な聴取により、審査委員会全体として専門的かつ公平中立な審議を行うこととしております。

 

(2)IR予定地の土壌問題等について、専門的な観点から検証を行うことが必要であることから「特段の必要」があると考え、必要な知見を有するオブザーバー3名を選定しております。先日連絡させていただいた3名の有識者は、軟弱地盤や津波・高潮災害に関する知見を有しており、審査委員会に参画し、意見や説明を行うことのできるオブザーバーとして相応しいと考えております。

 

(3)審査委員会は、設置要綱第2条において、区域整備計画の認定の審査に関する事項について「審議」することとされております。この「審議」とは、審査委員会として、基本方針に基づく基準に従って、計画認定の可・不可を判断するものであり、オブザーバーが軟弱地盤や津波・高潮災害に関する知見を適切に提供しながら、審査委員会の委員が審議を行うこととしております。

 

(4)それぞれの有識者の予定に応じ、10月28日以降の審査委員会に順次参加を頂いております。今後の具体の審査委員会への参加日程については、今後の有識者の日程都合等にもよりますので詳細はお答えをいたしかねます。なお、「審査委員会の非公開理由」は、主として、他のIR事業計画との中立性に依るものではありません。

 

(5)3名の有識者や審査委員の意見を踏まえ、申請者に対し必要な説明や資料の提出を求め、その回答内容を確認することを重ねて審査することを基本としており、その過程の中で、場合によってはご指摘の専門家会議や研究委員会でも扱われている内容を確認する場合もあり得ると考えます。

 

(6)審査委員会の設置要綱に定めるとおり、委員長が特段の必要があると認めるときにオブザーバーを選定することとしており、現時点で具体的な予定はありませんが、今後、もし仮に特段の必要が生じた場合には追加での選定として客観的に十分な専門性を有するかに基づいた選定が検討されることがあると思われます

観光庁意見交換(2022/12/6)

(1)について

★「全体で」というなら、なぜ少ない質疑時間の委員会で山内氏の名前を出したのか。やめていただきたい。

★土壌の専門家はいないのだから、審査委員会全体で、土壌の専門的かつ公平中立な審査ができない。

 

(2)について

★土壌問題について、「専門的な検証を行う特段の必要性がある」と認識していることは重要。ならば、徹底的な、多角的な検証が必要である。

★政府が選定した3名は、辺野古基地建設の軟弱地盤での設計変更にゴーサイン出したような人。

★したがって、オブザーバー市民側からも入れるべき。国会でとりあげた田結庄・神戸大学名誉教授は候補ではないか。

 

(3)(4)について

★10月28日、11月7日の審査委員会の開催状況で「ヒアリング」とあるので、この日に参加したということか?

特定複合観光施設区域整備計画審査委員会開催状況 | 特定複合観光施設(IR) | 国際観光 | 政策について | 観光庁 (mlit.go.jp)

◎具体的には言えない。

★では、あらためて、非公開理由は何か?9月20日の意見交換時には、「他の事業計画との中立性」との説明だった。

★オブザーバーの知見の提供は、「審議」ではないのだから、公開できるはず。来場者の安全性や、自治体の財政問題にも大きく関わる問題であり非公開はありえない。

◎委員の率直な意見交換、中立性。公開の重要性もあるので、認定後に公開としている。

★率直な意見交換というのは、すべての会議でいえること。しかし情報公開という制度で公開が原則であるし、有識者の知見の提供は審査ではない。

◎客観的な意見でもあるが、審査の中身に関わる。

★検討を。

 

(5)について

★「場合によっては」ではなく。必ず確認が必要。3名の有識者は、夢洲のことを直接やっていない。夢洲の研究をしている田結庄さん、大島研究委員会の確認は当然必要。

 

(6)について

★他の有識者を否定しないということだと思うので、市民側からのオブザーバー参加、私からも要請をしたい。

◎現時点で予定はない。具体的にはなかなか。

★これから要請していくので前向きに検討を。

意見交換でもはっきりしましたが、夢洲の沈下予測や対策の検討はこれからであり、今の段階で大阪府市が対応策を示すことはできません。

対応策が不明なのに、認定をすることはありえません。

ぜひ、SNSでご家族や友人にご紹介ください!

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