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2025年6月9日【質問主意書】出入国在留管理政策と家族結合権に関して

こんにちは、大石あきこです。

 

2024年6月9日に、出入国在留管理政策と家族結合権に関する質問主意書を提出しました。

出入国在留管理政策と家族結合権に関する質問主意書

2024年6月20日に、政府の答弁書が送付されました。

b217235.pdf

 

質問主意書の内容は、衆議院HPで公開されていますが、質問と答弁が別ページになっていて読みにくいので、

以下、わかりやすくするために、質問答弁を1対1に並べていますが、まずは【まとめ】を読んでほしいです。

 

【まとめ】

 日本には様々な事情により母国から逃れたり、在留資格を失った外国籍の人がいます。

その人たちにも家族がいて、子どもがいて、退去強制処分によって家族がバラバラにされるという非人道的な扱いが問題になってきました。

 2024年(令和5年)6月の出入国管理及び難民認定法(入管法)の改定では、難民認定の申請中でも強制送還できるようにした一方、人道上の考慮などによる「在留特別許可」について申請手続きや考慮事由を明確化したとされています。

 しかし、改訂後の在留特別許可に係るガイドラインでも

「在留特別許可は・・例外的・恩恵的に行われる措置であり、その判断は、法務大臣の極めて広範な裁量」と書かれています。しかし、「極めて広範な」裁量というものは、「外国人は煮て食おうが焼いて食おうが自由」(※1965年の法務省幹部の実際の発言)というフリー権限であってはなりません。

 政府は、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有する」という自由権規約を「遵守する」と答弁しており、「家族結合権」を認めた文脈になります。そうであれば、在留特別許可においても、権利保障を明確にした基準・運用が求められます。

 今回の質問主意書では、在留特別許可における家族結合権の考慮について聞きましたが、明らかに答弁を避けているものなので、引き続き質問をしていきたいです。

 政府は表向きは「移民政策を取るつもりはない」(2024/5/24岸田)としていますが、「特定技能」枠を倍増させるなど、人手不足を理由に介護や飲食製造、運送などで労働力としての受け入れを拡大させています。れいわ新選組は、外国籍の人を、安い労働力として利用するだけで、人間扱いしない入管政策(このことを政府の移民政策と指しています)に反対しています。外国籍の人の「家族結合権」を守ることは、これと一体的なことで、排外主義に対抗し、すべての人が人間として権利が守られる社会にしていく大事な取り組みだと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

2024年11月11日【大石あきこ・質問主意書】政府がすべての生活保護世帯にエアコン購入・修理費用の支給を行っていないことに関して

2024年11月11日【大石あきこ・質問主意書】政府がすべての生活保護世帯にエアコン購入・修理費用の支給を行っていないことに関して

出入国在留管理政策と家族結合権に関する質問主意書

 従前から、外国籍者の出入国在留管理政策においては、退去強制事由に該当する事情があっても在日家族がいることを考慮して在留特別許可を付与すること、上陸禁止事由に該当する事情があっても在日家族がいることを考慮して上陸を特別に許可すること、告示された在留資格に該当しなくても在日家族(外国籍、日本国籍を問わない。)が扶養目的で本国の家族を呼び寄せることを許可すること、といった柔軟な対応がとられてきたと承知している。

 以下、政府に対し質問する。

 

一 政府において、憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶことを前提に政策決定しているという理解に間違いはないか。

 

(答弁)一について

昭和53年10月4日最高裁判所大法廷判決において「 憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきである」とされているところ 、御指摘の「外国籍者の出入国在留管理政策」は 、同判決を踏まえて決定している

 

二 憲法第98条第2項は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と規定しており、日本が締結し、公布された条約等は国内法としての効力を持つとされているところ、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)第23条第1項で定める「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有する」という規定は、日本国内の政策においても共有されていると理解してよいか。

 

(答弁)二について

お尋ねの「規定は、日本国内の政策においても共有されている」の意味するところが明らかではないため 、お答えすることは困難であるが 、いずれにせよ、我が国は、市民的及び政治的権利に関する国際規約( 昭和54年条約第7号 。以下「 自由権規約」という 。)の締約国として、これを誠実に遵守してい

 

三 令和5年法律第56号による改正後の出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」という。)第50条第5項には、在留特別許可の判断に当たって家族関係を考慮することが明記されることとなった。入管法の前記改正前と改正後において、在留特別許可に際して「家族関係」を考慮する比重は上がったのか下がったのか、それとも従前の取扱いと変わらないのか。

 

(答弁)三について

在留特別許可の許否の判断は、従前から、個々の外国人ごとに、家族関係を含めた諸般の事情を総合的に勘案して行っているところ、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律( 令和5年法律第56号)による改正後の出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第50条第5項は、在留特別許可の許否の判断に当たり考慮すべき事情を法律上明確にしたものであり、在留特別許可に関する従来の判断の在り方を変えたものではない

 

四 子が親と切り離されない環境で心身の発達を遂げること、配偶者同士が日々直接的な交流を図ること、老親が孤立せずに家族に見守られながら最期を遂げることは、個人の尊厳及び幸福追求権を定めた日本国憲法下において、最大限に尊重すべきではないか。

 

(答弁)四について

お尋ねの趣旨及び「子が親と切り離されない環境で心身の発達を遂げること、配偶者同士が日々直接的な交流を図ること 、老親が孤立せずに家族に見守られながら最期を遂げること」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、憲法第13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しており、政府としては、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利を、公共の福祉に反しない限り、国政上尊重すべきと考えている 。

 

★「子が親と切り離されない環境で心身の発達を遂げること、配偶者同士が日々直接的な交流を図ること 、老親が孤立せずに家族に見守られながら最期を遂げること」の意味するところが明らかではない??家族で暮らすことやろ、わかるやろ。

 

五 国際法規上は、日本も批准する自由権規約等によっていわゆる家族結合権が保障されていると解されているところ、出入国在留管理政策において、家族結合権は考慮対象とされていると理解してよいか。なお、日本国籍者と外国籍者によって、家族結合権の重要性は変わり得るのか、それとも権利の重要性は同様であるが国益保持等の見地から諸事情を考慮した結果差異が生じるものなのか、それとも日本国籍者であっても外国籍者であっても家族結合権の保護の在り方に区別はないのか、という点もそれぞれ併せて回答されたい。

 

答弁)五について

前段のお尋ねについては、「出入国在留管理政策において、家族結合権は考慮対象とされている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、出入国在留管理庁においては、従前から、我が国が締結した自由権規約等の規定を踏まえ、施策の実施に努めているところである。後段のお尋ねについては、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。 

 

★質問二への答弁で家族結合権を明記した「自由権規約」を遵守すると言っているのだから、「出入国管理政策において、家族結合権は考慮対象とされている」と答弁されるのが当たり前でしょう。何をごまかしてるんですか。

 

 六 2023年8月4日に出入国在留管理庁が発表した「送還忌避者のうち本邦で出生した子どもの在留特別許可に関する対応方針について」では、子どもが「本邦で出生して」いることを条件として、家族一体として在留特別許可をして在留資格を与えるとしている。この対応方針に基づき、同じ両親の子どもでありながら、幼少期に来日した子どもと日本で出生した子どもを区別して在留資格を与えた事例はあるか。あるのであれば、そうした対応は、家族結合権を侵害するものにならないのか。

 

答弁)六について

お尋ねについては 、個別の事案に関することであるため 、答えすることは差し控えたい 。

 

★個別の事案について回答できない理由がわかりません。「自由権利約」を遵守すると言っているが、実際の入管行政で順守しているのかという重要な点です。 

 

七 前記の出入国在留管理政策における家族関係を考慮した柔軟な取扱いについて、現在もその基準・内容・範囲等に変更はないものと理解してよいか。

 

 答弁)七について

お尋ねの「前記の出入国在留管理政策における家族関係を考慮した柔軟な取扱い」の意味するところが必ずしも明らかではないが 、仮に御指摘の「退去強制事由に 該当する事情があっても在日家族がいることを考慮して在留特別許可を付与すること、上陸禁止事由に該当する事情があっても在日家族がいることを考慮して上陸を特別に許可すること、告示された在留資格に該当しなくても在日家族(外国籍、日本国籍を問わない。)が扶養目的で本国の家族を呼び寄せることを許可すること、といった柔軟な対応」についてのお尋ねであれば、在留特別許可及び「上陸を特別に許可すること」の許否の判断については、引き続き、個々の外国人ごとに、家族関係を含めた諸般の事情を総合的に勘案して行うこととなる

 

この質問主意書の作成にあたって

大阪で入管問題に取り組む弁護士さんとともに、質問主意書を完成させ、提出しました。

答弁に対し、コメントを出されているので掲載します。

 

===以下、コメント===

 出入国在留管理行政では、法務大臣の裁量が大きく、実際には入管内部で様々に考慮要素及びその重みづけを変化させているにもかかわらず、外部には考慮要素等の変化が示されず、時と世情によって対象者が翻弄される状態にあります。

 特に、最近の入管行政では、家族の結合を無視する判断が相次いでいるというのが現場感覚であり、少なくない者が配偶者・子・親と引き離されて苦しんでいます。

 そのような入管行政の自由裁量にすこしでもくさびを打ち込むべく、言質を取れるところはとっていき、見てますよ、聞いていますよ、ということを伝えるために、今回の質問主意書を出してもらっています。

 今回も、「国民の権利(としては認める)」「諸般の事情を総合して(判断している)」「(基準は)変えていない」など、想定の範囲内の抽象的な答弁に終始していますが、このような答弁でも出させ続けることで、そしてこのような答弁を現場でそして司法の場で使い続けることによって、市民が「勝手に基準を変えないで」「全くの自由にはさせない」と見張っているアピールになると考えています。

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