2025年6月18日【文部科学委員会】学習指導要領についてあべ文科大臣に質問しました。
※赤字はブログ掲載にあたっての補足です
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委員長 次に、大石あきこ君。
大石 れいわ新選組、大石あきこです。
学校現場で学習指導要領が、守らなければ死ぬみたいな罰ゲームになっているというところの、この世界観を崩したいと考えています。
それで、先週も参考人質疑をやりましたけれども、やはりそのような罰ゲームとして機能しているなというのは痛感いたしました。
柔軟性が課題だというお話をしていましても、その柔軟性の議論自体がもうがっちがちで、これのどこが柔軟性なんだという思いをいたしました。それを崩したいなと。
これはもう文科省の洗脳に近いなと考えておりますので、これを解くにはどうしたらいいかというのは、やはり大事なことは原点ですね。そのルールだったり法規制の考え方、また法的性質というのをちゃんと確認して、その趣旨を踏まえて学校現場でも行動していく、そして文科省は、そのようなところの逸脱した、洗脳のようなことはやってはいけないよということを明らかにしていきたいと思います。
まず、法務省にお伺いします。
学習指導要領に関する判決がありますので、まず、判決の在り方というか、判断の在り方について問います。法務省に問いますが、最高裁判所の大法廷で示された判断、その判断が示された後に最高裁判所の小法廷がその判断内容に反する判断をすることはできますか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
裁判所法第10条第3号によれば、憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するときは、小法廷では裁判をすることができないとされているものと承知しております。
大石 今のは裁判所法第10条第3号のほぼ読み上げでありました。
小法廷ではそのような裁判をすることができないと法文に明記されています。
それで、北海道で旭川学テ事件という、最高裁判決、大法廷での判決があって、これは学習指導要領に係るものなんですけれども、
この旭川学テ事件の最高裁判決、1976年ですが、このときに概要が次のように判示されています。
「憲法上、親は一定範囲においてその子女の教育の自由を持ち、また、私学教育の自由及び教師の教授の自由も限られた範囲において認められるが、それ以外の領域においては、国は、子供自身の利益の擁護のため、又は子供の成長に対する社会公共の利益と関心に応えるため、必要かつ相当と認められる範囲において、子供の教育内容を決定する権能を有する」
という判示なんですけれども。
概要が示された上で、また、次のような判示もあります。教育内容に関する国家的介入についても判示されているんですけれども、私の方が言いますね。問2で問うていたんですけれども、私の方から言います、時間の都合で。この大法廷判決において、このような判示をされていると。
「党派的、政治的観念や利害によって支配されるべきではない教育にそのような政治的影響が深く入り込む危険があることを考えるときは、教育内容に対する右のごとく国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが要請される」
というふうにこの大法廷で判示されていまして、国家的介入に対してできるだけ抑制的であることということが示されています。
また、憲法26条、13条、子供の教育を受ける権利ですとか、個人が尊重される規定というところからでも判示があります。このようなものです。
「例えば、誤つた知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法26条、13条の規定上からも許されないと解することができるけれども、これらのことは、前述のような子どもの教育内容に対する国の正当な理由に基づく合理的な決定権能を否定する理由となるものではない」
このような判示なんです。
この内容には、そういった憲法26条、13条の規定は守らなければいけないよということを、学習指導要領に関して前提に置いた判示となっています。
そこで、あべ文科大臣に伺います。
問3です。
この旭川学テ事件の最高裁判決、当時の学習指導要領の法的性質について、このような判示をしています。
「全体としてはなお全国的な大綱的基準としての性格を持つものと認められるし、また、その内容においても、教師に対し一方的な一定の理論ないしは観念を生徒に教え込むことを強制するような点は全く含まれていないのである、それゆえ、上記指導要領は、全体として見た場合、教育政策の当否はともかくとして、少なくとも法的見地からは、教育の機会均等の確保等の目的のために必要かつ合理的な基準の設定として是認することができる」
という判示でした。
あべ文科大臣にお伺いしますが、この判示内容を踏まえて学習指導要領を告示していますか。
あべ文科大臣 大石委員にお答えさせていただきます。
学習指導要領でございますが、学校教育法等の法令の規定に基づきまして、教育の機会均等と全国的な一定水準の維持のために文部科学大臣が定める教育課程の大綱的な基準でございまして、この法規としての性質を有するものでございます。
こうした学習指導要領の在り方ですが、最高裁の判決の判示内容と整合したものであるというふうに考えております。
大石 答弁の最後の、旭川学テ事件の最高裁判決、大法廷判決の判示内容と整合したものだという大臣の答弁でした。
非常に重要なことだと考えています。
問4です。
あべ大臣、引き続き伺います。
小法廷でも学習指導要領の判決があったんですよね。伝習館高校事件の最高裁判決というのが、
その大法廷判決の時系列的には後になりますが、1990年に小法廷で判決がありました。
文科省は結構この判決を多用しているように伺っています。
この小法廷判決で、最高裁は以下のように、次のように判示しています。
「高等学校学習指導要領は法規としての性質を有するとした原審の判断は、正当として是認することができる」と。
この大法廷と小法廷の関係性というのを、今、質疑で御説明、答弁などで明らかにしてきましたが、旭川学テ事件最高裁大法廷判決、学習指導要領について、全国的な大綱的基準としての性格を持つとしています。先ほどあべ大臣御自身のお言葉でもおっしゃっておられました。
この大法廷の判決、小法廷の判決、両判決を整合的に理解しますと、適法な学習指導要領としては、法規性を有するのは大綱的基準の部分のみと考えてよろしいですか。
あべ文科大臣 大石委員にお答えさせていただきます。
先ほども答弁させていただきましたが、学習指導要領は、学校教育法の法令の規定に基づいておりまして、教育の機会均等と全国的な教育水準の維持のために文部科学大臣が定める教育課程の大綱的な基準でございまして、全体としてこの法規としての性質を有するものでございまして、この点は過去の最高裁判決におきましても示されているものと認識をしているところでございます。
大石 今の文科省の説明部分が間違っていることによって、全体として法規性を有すると解してやってしまうことによって、学習指導要領への逸脱行為、そしてこの大法廷での判決を逸脱するような文科省の在り方が起きていると私は考えるんですね。だから、そのような説明というのはやってはいけなくて、実際に大法廷判決の中でも、細部にわたる内容についての法規性はない、そのような内容で判決は示されているんですけれども。
これも伺っておきましょうかね。
文科省も、細部にわたる内容についてまでの法規性はないと、同じ考えでよろしいですか。
望月政府参考人 大臣から先ほど御答弁申し上げましたけれども、学習指導要領はその全てが大綱的基準でございまして、全体として法規としての性質を有するものでございます。
その上で、具体的な項目によっては、もとより学校や教師の判断や裁量を広く想定しているというものもあるところであり、どこまで学校や教師の裁量が認められるかにつきましては、学校や教育委員会の個別の具体の判断にされるものと考えてございます。
大石 全てにおいて大綱的基準で法的性質を有するというのは、大法廷判決に反する見解ですので、よく読んでください。
ちょっと時間がないので、問い6、伺いますね。
学習指導要領の大綱的基準以外の部分について、学校ごとに教育課程編成権があり、
各学校がそれぞれの判断で決定できる裁量があると考えていいですか。
シンプルにお答えください。
あべ文科大臣 大石委員にお答えいたします。
先ほど答弁いたしましたが、そのとおり、学習指導要領に関しましては、全体として法規として導要領に関しましては、全体として法規としての性質を有するものではございますが、詳細に教育活動の具体を規定する記載はなされていないところでございまして、全体として学校や教師の判断、裁量を広く想定しているものとなっているところでございまして、各学校におきましては、大綱的基準としての学習指導要領の規定に基づいた上で、児童の心身の発達の段階、特性及び学校や地域の実態を十分考慮して、創意工夫を凝らした教育課程を編成いただきたいと考えておりますし、文部科学省としても、そうした取組を積極的に支援してまいります。
大石 文科省のこういう見解の問題につきましてはまた引き続き扱っていきますが、時間がないので、問い七、お聞きしますね。
学習指導要領に係る標準授業時間、標準授業時数ですね、これは文科省省令である学校基本法施行規則によって定められておりますが、あくまで標準であり、この時間を下回ったからといって直ちに法令違反となるものではないですけれども、間違いないですか。
あべ文科大臣 大石委員にお答えさせていただきます。
標準授業時数でございますが、教育課程の基準でございますこの学習指導要領に定めました内容を指導するために必要な時間として示したものでございまして、計画段階からこれを下回って教育課程を編成することは適当でないというふうに考えています。
一方、災害や感染症等の不測の事態により標準を下回った場合、そのことのみをもってして法令に違反するものではない旨併せて周知をしているところでございまして、このように、法令でございます学校教育法施行規則で定めている各教科、各学年の標準授業時数に関しては、それらを標準として各学校が教育課程に編成しなければならないという意味におきまして各学校を法的に拘束するものですが、標準を下回った場合に不適当であるかどうかは個別具体に判断すべき性質のものだというふうに考えております。
大石 ほかの委員の答弁ではもう少しシンプルでしたし、私に来た答弁ラインもシンプルでしたので、こういう文科省の見解だよということは今読み上げておきますね。
不測の事態により下回った場合、そのことのみをもって法令に違反するものではないというのが文科省の見解です。
不測の事態というのは今ですよね。文科省によって学校の先生が確保できていない、このような過労状態に置かれていて、時間外在校等時間という不当なサービス残業をさせられていて過労死が発生しているという不測の事態が今起きているわけで。それを下回ることは法令に違反するものではなく、やはり2003年の、先ほどの委員でも指導的助言とか言っている通知ですよね、
それがクソバイスであったということで、
この助言の出し直し、このような、「下回ってはならない」というようなものは撤回して、新たに通知を出し直すということが求められている。
まあ、検討されると言っていたので、早くやってください。
それから、問い9もお聞きしておきます。
2つの事実を既に文科省にお示ししました。
簡単に言えば、学校現場で休憩時間を取らせていないことによって、労基法違反が明らかになっているという事実を2つ示しました。
1つは、去年の2024年12月9日に、土佐町の議会でこのようなやり取りが行われたんですね。
ある議員が、鈴木議員という土佐町の議員ですけれども、教員の勤務時間内に法定の休み時間45分を取れているか。
教育長がこのように答えています。
「勤務時間中の法定の休み時間の確保についても、4教育長さん(※高知県大豊町、本山町、土佐町、大川村の4町村のこと)もやはり確保できていないという認識でそれぞれ確認をしました。
重ねて教育長が、言ってしまえば、そういうことになろうかと思います、労働基準法違反ですよねと言われれば、そうですとしか言えません、
これは4町村の教育長も同じ認識であると同時に、恐らく、全国的にもそういったことが起きているということは事実でございます。」

これは5月に報道されました。
※報道はコチラをクリック↓
教諭の残業で香川県に賠償命令、校長が労基法の義務果たさず 「初判断」専門家評価 - 産経ニュース
もう1つ。
今年、2025年3月に高松地方裁判所で、生徒の合宿に関してなんですけれども、校長が、勤務時間が大幅に増えると認識しながら、別日への割り振りを怠ったほか、休憩時間を与えなかったと認定して、労基法に基づく義務を果たさなかった結果、肉体的、精神的苦痛を与えたと、労基法違反による損害賠償が地方裁判所で認定されました。
このような形で、休憩時間を取らせていないということで、校長がですね、労基法違反になっているという指摘が事実として2つ挙がっています。
もう時間がないので、この記事を知っていますかという質問ははしょりまして、このようなことが起きて、文科省の答弁ラインとしても、違反になる、労基法34条違反にもなり得るという認識はあるようですから、これについて、直ちに校長に周知すべきではないですか、割り振りをちゃんとするようにという周知をするべきではないですか。
望月政府参考人 勤務時間の割り振りによりまして労働基準法34条に規定する休憩時間を与えられていないというような場合には、
労働基準法、これはもう違反になるということでございます。
我々としては、教師の休憩時間の確保につきましても、引き続き各教育委員会の指導助言を徹底したいと考えてございます。
大石 周知をやるというふうに受け止めますので、さっさとやってくださいね。
文科省の役割というのは教育環境の整備でして、間違ったクソバイス的な助言で現場を苦しめることではないですし、
それは法を逸脱しておりますので、教育環境の整備、これは人ですね、学校の先生を増やす、そして、子供たちの教育を受ける権利ですとか個人の自由を尊重するということを教基法に基づいて徹底するということが求められます。
時間が来たので終わりますが、引き続き扱います。
終わります。
※衆議院、文部科学委員会 会議録より転載。大石あきこ事務所にて編集
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