こんにちは、大石あきこです。
前の臨時国会で提出した質問主意書が解散のため、回答がされなかったものを11月11日に再度出しました。
こちらは前の国会で提出した質問主意書です。
第214回国会 政府がすべての生活保護世帯にエアコン購入・修理費用の支給を行っていないことに関する質問主意書 (shugiin.go.jp)
2024年11月22日、内閣の答弁書が送付されました。
第215回国会 衆議院議員大石あきこ君提出政府がすべての生活保護世帯にエアコン購入・修理費用の支給を行っていないことに関する質問に対する答弁書
質問と答弁が別ページになっていて読みにくいので、
以下、わかりやすくするために、冒頭に「まとめ」を入れ、質問と答弁を1対1に並べました。
【まとめ】
今年の夏も猛暑で、しんどかったですね。そんな中で、エアコンがないお年寄りがたくさんいるため危険だ、という地元のケアマネさんたちから実態を伺い、厚労省とやり取りしてきました。
熱中症対策、エアコン給付を(大石あきこから厚労省に問い合わせた報告)
今の答弁を変えてもらうため、今回、正式に主意書という形で出しました。
・結論としては、政府は、「熱中症を予防するためには適切なエアコン利用が重要」と言いながら、生活保護世帯のエアコン購入・修理費は「保護費のやりくりで」「困難なら借金で」という姿勢をかたくなに変えませんでした。
・物価高騰があっても、生活保護費はまったく上がっていません(来年度、「500円」だけ加算の引き上げが検討されています)。
熱中症で命を失う人がたくさん出てくることがわかっていながら、エアコン購入をかたくなに認めないのは、もはや殺しに来ているとしか言いようがありません。
・私としては、現行の生活保護の「実施要領」の範囲内であっても「特別な事情」であれば保護費からのエアコン支給は可能であることから、その「特別な事情」の幅を広げ「ダメではない」と国は認めるべきだと考えています。
・修理の対象となる、「家屋の従属物」の定義もどこにもありません。
・しかし、地方自治体が「特別な事情にあたると判断」「エアコンを家屋の従属物と判断」することについては、想定していないと繰り返すのみです。
何を根拠に基準に反すると言えるのか?という問いには答えていません。基準違反とも言えないのです。
・政府の答弁は、「初年度はエアコン支給認めるけど2年目からはダメ」「地方自治体の判断は想定していないからダメ」という不合理なものです。引き続き、国民の声によって、答弁を変えさせていくべきものと考えます。
・自治体の現場においても、国が「想定していない」としても、自治体の裁量の範囲だとして、緊急で支給を認めろと要求していく必要があります。
・国が認めないからと放置してよいことではなく、自治体の費用でエアコン設置を支援することは可能です(奈良県生駒市は、エアコン設置できていない生活困窮世帯に10万円の支援を始めた)。各自治体への要求も重要です。
すべての人に、さっさと季節ごと10万円のインフレ対策給付金を。
(大石あきこ質問主意書)
近年、日本全国で災害ともいえる猛暑により熱中症の被害が起きている。
職場での熱中症による死傷者は2017年以降毎年五百人を超え続け、2022年の熱中症の死亡者は全国で年間1477人となった。環境省によれば、昨年度の東京23区における熱中症死亡者の8割以上が65歳の高齢者であり、このうち屋内の死亡者の約九割がエアコンを使用していない、又は所有していない状況にあったと報告されている。
この連日の酷暑が毎年の常態化した現在にあっては、エアコンは決してぜいたく品ではなく、最低生活維持のためには必要不可欠だと考えられるだろう。厚生労働省自身も、令和6年5月31日付厚生労働省社会・援護局保護課発の事務連絡にて、「熱中症を予防するためには適切なエアコン利用が重要」としている。また、本年9月、「生活保護問題対策全国会議」を含む15団体から厚生労働大臣宛ての要望書が提出され、「夏季加算創設とエアコン代支給」を求められている。
しかしながら、厚生労働省はその要求を受け入れず、制度変更をしていない。上記事務連絡においては、厚生労働省自身がエアコンの利用を推奨している中で、保護開始時に持ち合わせがない場合などの「特別な事情」がある場合以外は、保護費のやりくり又は貸付けにより購入・修理するよう求めるという従来の方針を維持し続けている。
そこで政府に対して、そのような費用の支給を生活保護世帯に対して例外なく認めるべきと指摘するとともに、以下の点について見解をただす。
一 「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日、社発第246号)(以下「局長通知」という。)第7の2(6)ウでは、「初めて到来する熱中症予防が必要となる時期を迎えるに当たり」との要件を設けているが、その「時期」については、特定の時期を固定した書きぶりにはなっていない。「熱中症予防が必要となる時期」とは、暦や外気温だけではなく、被保護者の体調など個別の事情も考慮した必要性の判断が求められると考える。当方は、今年の猛暑で特に熱中症対策が必要となった場合であれば、それを「初めて到来する熱中症予防が必要となる時期を迎えた」と都道府県等が判断することも基準の範囲内と言えると考えるが、政府は保護開始時以降複数年経過した場合の生活保護世帯への
エアコン購入費用の支給については想定していないとの姿勢を崩していない。
1 厚生労働省は「想定していない」とするが、個別の事情を地方自治体が判断し、「初めて到来する熱中症予防が必要となる時期」と取扱った場合に、何を根拠に基準に反すると言えるか。根拠があればお答えいただきたい。
(答弁)一の1について
生活保護による保護を受けている世帯(以下「被保護世帯」という。)への御指摘の「エアコン購入費用の支給」の「時期」については、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和三十八年四月一日付け社発第二百四十六号厚生省社会局長通知。以下「実施要領」という。)において、「被保護世帯が・・・初めて到来する熱中症予防が必要となる時期」と規定しているところ、「熱中症予防が必要となる時期」は毎年到来するものと考えており、被保護世帯が二回目以降
「到来する熱中症予防が必要となる時期」は想定しておらず、したがって、御指摘のように「個別の事情を地方自治体が判断」することは想定していないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。
2 また、この姿勢は政府が「熱中症を予防するためには適切なエアコン利用が重要」と通知していることと矛盾し、生活保護受給者について、保護の時期によって差別的な対応をしているのではないかと考えるが、政府の見解如何。
(答弁)一の2及び二の1の後段について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、令和6年6月4日の参議院環境委員会(注:ながえ孝子議員の質疑)において、政府参考人が「生活保護の開始時におきまして、持ち合わせがないとき等において、真にやむを得ないと保護の実施機関が認めた場合には、一定の基準の範囲内でエアコンの購入費用等を支給することを可能としているところでございます。生活保護におきましては、エアコンを含めまして、日常生活に必要な生活用品については保護費のやりくりによって、一般家庭と同じようにやりくりによって計画的に購入していただくということとなっております。その保護費のやりくりによってエアコンの購入が困難な場合には、生活福祉資金貸付というものを活用していただきまして購入していただくことも可能となっているところでございます。・・・本年3月、全国会議におきまして、自治体に対して、ケースワークにおけるエアコン等の購入意向の確認ですとか、購入に向けた助言等を要請しているところでございます。また、本年の5月にも事務連絡を発出いたしまして、自治体に対して生活保護制度におけるエアコン購入の取扱い等を改めて周知いたしまして、購入に向けた助言等を依頼したところでございます。」と答弁したとおりであり、御指摘のように「政府が「熱中症を予防するためには適切なエアコン利用が重要」と通知していることと矛盾」し、「保護の時期によって差別的な対応をしている」とは考えておらず、また、「別の形でエアコン修理費用の支給をすべての生活保護受給者に認めるよう方針を変更する」ことは考えていない。
二 一般の社会通念としてエアコンが最低生活に直接必要な家具であることから、その修理費は、「住宅維持費」(局長通知第7の4(2)ア)と判断することも可能ではないかと厚生労働省に問い合わせたところ、「冷房器具は、外形上、いずれの所有に帰属するか明らかではなく、また、転居において撤去された後、転居先の住居に設置されることもよくあることから、家屋の従属物とはいえない」との回答を本年8月21日に得た。
1 しかしながら、昨今の物価高で低所得層の生活を直撃している現状や、政府自身が熱中症対策などの気候変動適応の推進が必要と考えていることを踏まえれば、住宅維持費の支給対象となる従属物の定義を変更するか、あるいは別の形でエアコン修理費用の支給をすべての生活保護受給者に認めるよう方針を変更するべきと考えるが、政府の見解如何。
(答弁)二の1の前段について
御指摘の「住宅維持費」については、実施要領において「被保護者が現に居住する家屋の畳、建具、水道設備、配電設備等の従属物の修理又は現に居住する家屋の補修その他維持のための経費を要する場合に認定する」こととしているところ、エアコンについては、御指摘の「回答」のとおり、「外形上、いずれの所有に帰属するか明らかではなく、また、転居において撤去された後、転居先の住居に設置されることもよくあることから、家屋の従属物とはいえない」と考えており、御指摘のように「住宅維持費の支給対象となる従属物の定義を変更する」ことは考えていない。
2 当方は、厚生労働省の説明によれば、「従属物」の具体的な定義について記載されたものは存在しないと確認している。それであれば、個別の事情を地方自治体が判断し、エアコンを家屋の 従属物と取扱った場合に、何を根拠に基準に反すると言えるか。根拠があればお答えいただきたい。
(答弁)二の2について
二の1の前段についてでお答えしたとおり、エアコンについては、「家屋の従属物とはいえない」と考えており、御指摘のように「エアコンを家屋の従属物」と「地方自治体が判断」することは想定していないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。
三 相次ぐ生活扶助基準引下げと記録的物価高で生活保護世帯の生活は極めて厳しい状況にあり、エアコン設置費用を貯蓄する余裕がないことはもちろん、エアコンがあっても光熱費を節約せざるを得ない現状がある中で、もはや冬の暖房代以上に夏の冷房代の方が生命・健康維持のために切実に必要である。
1 生活保護世帯に対して、夏季加算を早急に創設すべきと考えるが、政府の見解如何。
(答弁)三の1について
お尋ねについては、令和6年6月4日の参議院環境委員会において、政府参考人が「生活保護基準につきましては、一般国民の消費実態との均衡上の妥当な水準を維持する、いわゆる水準均衡方式の考え方で設定されているところでございます。エアコンの電気代を含みます光熱費につきまして、平成27年の生活保護基準部会による検証におきまして、家計調査のデータを用いて各月の光熱費の支出額を比較いたしました。その結果、支出額が増加する月を確認いたしましたが、年平均の支出額と比べまして夏季に光熱費の支出額が増加する実態は確認できなかったところでございます。近年の光熱費の支出額の動向につきましても、家計調査のデータを用いて確認いたしますと、同様に、年平均の支出額と比べて夏季に光熱費の支出額が増加する実態が確認できていないということでございまして、こうした実態を踏まえますと、御指摘の夏季加算の創設については慎重に考える必要があるものと考えております。」
と答弁したとおりである。
2 平成26年ごろと比べても、熱中症のリスクは高まっている。直近の調査により、1の夏季加算の必要性を検討すべきではないか。また、生活保護世帯の光熱費の支出額が増加しないのは、お金がなくて我慢しているからと考えられないか。適切なエアコン利用を勧めるならば、生活保護世帯の光熱費の支出額のみで判断するのではなく、エアコンの設置状況や、使用状況を調査すべきと考えるが、政府の見解如何。右質問する。
(答弁)三の2の前段について
お尋ねについては、令和6年6月4日の参議院環境委員会において、政府参考人が「生活保護基準につきましては、一般国民の消費実態との均衡上の妥当な水準を維持する、いわゆる水準均衡方式の考え方で設定されているところでございます。エアコンの電気代を含みます光熱費につきまして、平成27年の生活保護基準部会による検証におきまして、家計調査のデータを用いて各月の光熱費の支出額を比較いたしました。その結果、支出額が増加する月を確認いたしましたが、年平均の支出額と比べまして夏季に光熱費の支出額が増加する実態は確認できなかったところでございます。近年の光熱費の支出額の動向につきましても、家計調査のデータを用いて確認いたしますと、同様に、年平均の支出額と比べて夏季に光熱費の支出額が増加する実態が確認できていないということでございまして、こうした実態を踏まえますと、御指摘の夏季加算の創設については慎重に考える必要があるものと考えております。」
と答弁したとおりである。
(答弁)三の2の後段について
御指摘の「エアコンの設置状況や、使用状況」の調査については、厚生労働省が実施した「令和4年家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」において、エアコンの「保有状況」及び「生活費の不足による冷暖房使用の制約状況」を把握し、調査結果を公表しているところである。