上野委員長 次に、大石あきこ君。
大石 ありがとうございます。れいわ新選組の大石あきこと申します。
AV出演被害防止・救済法案についてお伺いしたいと思います。
本日、この委員会で、例えば公明党の方とか維新の方とかが、超党派で画期的な法律がとか言ってはるんですけれども、そんなこと、美談にするなという話じゃないんでしょうか。
そもそもなんですけれども、この四月から、十八歳、十九歳に大きな問題が起きているということなんですね。そもそも、四月から十八歳、十九歳が成年取消権の保護から外れる、そういう事態を前にして、何とかAV出演契約の取消し規定を作れないかみたいな、そういう話になっているというわけなんですけれども、これは数年前から分かっていたことで、今まで与党は何をやっていたのか、そこを追及するべきではないんでしょうか。
そして、この法案が成立しても、少なくとも、十八歳、十九歳、これが合法的に性交するAV、いわゆる本番を含むAVというものを、出演するのがあり得るということは変わらないわけですよね。それをなぜそんなふうに、美談だ、超党派だと言っているのかというお話ですし、今日も傍聴にたくさん来られていますけれども、私の事務所にも、昨日の遅くまで、反対されている団体や個人、賛成されている団体や個人、非常に入り交じるような、議論が分かれているような状況です。
この法案全体としては、年齢十八歳、十九歳を問わず全体として救済する武器になる、そのような可能性というのは大いに評価できると思います。しかし、まだまだ救われていない、経済的事情を背景にした部分ですとか、そういった十八歳、十九歳が、三月末まではAV出演しなかったものを、合法的に本番も含めて出演できるという事実は変わらないわけですし、性交そのものを禁止すべきだということを先ほども共産党の委員の方もおっしゃっていましたけれども、そういった議論が終わらない中で、ここの中で、美談のように、超党派ですごいことをやったと言うのは非常におかしな話だと思います。
質問をしていきたいんですけれども、そもそも、十八歳、十九歳という問題です。
法務省の方にお伺いしたいんですが、十八歳、十九歳の救済について、民法改正の際に、お酒とかたばこ、ギャンブルというのは、十八歳、十九歳も成年になるよという際にも、二十歳以上にならないとお酒、たばこ、ギャンブルはあかんで、そういう民法改正を行ったんですけれども、そこで二十歳以上を堅持した際に、なぜAV契約も同様に二十歳以上を規定しなかったんでしょうか。
堂薗政府参考人 お答えいたします。
民法の成年年齢の引下げに当たっては、民法以外の様々な法律が定める年齢要件を引き下げるか否かが問題となりまして、検討が行われたところでございます。
飲酒、喫煙、公営競技につきましては、その年齢要件を二十歳以上と定める法律が存在し、この年齢要件を維持するかどうかについて、それぞれの法律の所管省庁において、それぞれの法律の趣旨に基づいて検討が行われた結果、二十歳以上という年齢要件が維持されたものでございます。
これに対しまして、AVへの出演契約につきましては、そもそも、このような契約を締結することができる年齢要件を定めた法律がなかったため、民法の成年年齢の引下げ前においても、このような契約を締結することができる年齢に制限は設けられておらず、様々な契約類型とともに、民法の規律に従うものとされていたところでございます。このため、年齢要件の見直しが問題にならなかったものと認識しているところでございます。
大石 このように、AVに関しては年齢制限に特化した個別法がなかったから立法化に至らなかったというようなことをおっしゃっていると思うんですけれども、数年あったということで、これは非常に大きな問題で、みんなでばたばたして超党派で作ったということですから、なぜ自民党や公明党、与党の方々がこれを数年かけて放置していたのか、個別法がなかったからというのが問題になるのかというのは非常におかしな話で、まずそこを追及するべきではないのかなというふうに思うんですね。
次に、山井議員にお伺いしたいと思います。
そういった話なんですけれども、十八歳、十九歳の取消権を維持するという意味では、先ほどから聞きました飲酒や喫煙を禁じる立法経緯に倣って、取消権を従来どおり保障する救済立法を優先するべきではないですか。今回の法案作りは、その意味でも拙速ではないでしょうか。
山井委員 大石議員の御質問にお答えを申し上げます。
私たちも、十八歳、十九歳の未成年者取消権がなくなるということで、その懸念の声を受けて動き出したということは事実であります。
ただ、是非御理解いただきたいのは、超党派で議論した結果、二十歳以上も二年間無条件で撮影そしてAV販売を停止できる、回収できる、解除できるということで、結果的にはよくなったんですね。十八、十九だけ取消権存続と言っていたのが、二十歳以上も含めて全年齢になってよくなったということは、是非御理解をいただきたいと思います。
そして、あるAV等のこういう被害者の方からも今回の法案について御意見をいただきました。短いですが、ちょっと読み上げさせていただきます。私は被害者であり、支援の場にいます、周りの子は、法律がないから、被害と言えず、命を絶った子もいます、そもそも、裸にならなきゃ生きていけない日本はおかしいと思います、私たちの最後のとりでは法律なんです。ということで、被害を受けて無念のうちに自死された方も残念ながらおられるわけです。
そういう中で、超党派で、現時点でまとめられる形で一刻も早く、武器である取消しをできるための法律を作りたいというのが今回の趣旨でありますので、十八歳、十九歳の議論から始まりましたけれども、結果的には全年齢に広がって非常によかったということを御理解いただければと思います。
大石 全体としてはよくなったと。だけれども、個別には、救済できなかった部分、又は被害がもしかしたら拡大する部分、又は本質的に解決していない部分、そういったものが様々残されていると思うんですね。
山井議員にもう少しお伺いしたいんですけれども、一つ問題になっているのが、性交禁止、そもそも、性交を含むAV、いわゆる本番と言われるものですけれども、そういった性交自体を禁止する規定というものも少なくとも今後考えていかなければならないと思うんですけれども、山井議員が今後の見直しとか改定というところで盛り込みたいなというところに性交禁止規定は入っていますか。シンプルにお答えください。
山井委員 まず、答弁の前提で申し上げますが、今日は超党派の実務者、発議者で答弁をいたしますので、私個人はという見解はここでは申し述べることはできないということを前置きをさせていただいております。
それで、性交禁止の規定は入っているかということでありますけれども、御存じのように、私がこの場で答弁をすることが適当であるのは、検討規定として、今後どういうことがこの法案では検討すべきということになっているかということであると思いますが、附則第四条二項においては、性行為映像制作物の公表の期間の制限及び無効とする出演契約等の条項の範囲その他の出演契約等に関する特則の在り方について検討するということになっております。これは私の個人的な見解ではなく、ここの発議者全員の統一見解であります。
これらについては、第一項において、この法律の施行状況等を勘案して、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講じられるものとされており、まさに、本法案を御審議いただいている現段階においては、本法案の規定に基づいて検討事項の内容を先取りするということはできませんが、本法施行後において、施行状況等を的確に把握し、必要な検討が行われることについて、政府とともに、私たち立法府もこれをフォローしてまいりたいと思います。
大石 ありがとうございます。
性交禁止についても検討するよということが附則に入っているというふうにお答えになったんでしょうか。
この法案に付随する決議というものが、ここで質疑の対象にできるか分からないんですけれども、昨夜に、共産党の、その決議案の修正の過程で、性交禁止も検討を行い必要な措置を講じることというふうに修正案を共産党が入れておられたと聞いているんですけれども、その、性交禁止も含め検討の、性交禁止も含めが消されているんですけれども、これは、性交禁止の検討を行わないということかなというふうに思ったんですけれども、それについて経緯は御説明いただけますか。与党の方がそのようにされたんでしょうか。
どなたに聞いていいか分からないんですけれども、決議案に関して、共産党の、性交禁止も含めをあえて消して完成させたという経緯について説明を知りたいんですけれども。
宮崎委員 お答えいたします。
今の御質問は、この後出てくるであろう決議案についての検討の状況について御発言になっているかと思いますけれども、私ども発議者では、その経緯については承知をしていないということでございます。
大石 じゃ、いつ、これ、なぜ消えたのかということを議論できるのかなということを不思議に思うんですね。
ここの委員会でそういったルールを御存じの方は、何を言っているんだという話かもしれませんけれども、こういう、性交禁止も含めて検討と言われていたのがわざわざ消されているのは、これはどういう経緯なんですかというのは結構重大だと思うんですよね。それが聞けないというのは、この運営自体がおかしいんじゃないかと思うんですよ。
そのことについてもっと言いたいんですけれども、本日、この質疑を行うに当たり、法案に賛成するならこの質疑ができるという機会が私に与えられたんですね、れいわ新選組に与えられたんですよ。だから、当初反対を検討していたんですけれども、反対なら質疑の機会がないですよと言われたんですね。
これはどういうことなんでしょうか。だって、先ほどから、議員も含めて、この法案は決して完璧ではない、賛否両論もありますし、救済できる部分、できない部分、あるいは拡大させてしまうおそれというものも広く議論しなければいけない。むしろ、反対という内容について積極的に質疑がなされないと、この法案がよりよくならないはずなんですけれども、反対なら質疑の機会ないでって言われているのは、これはどういうことなんですか。
どういうことなのかというのは、何か、前例だとか、委員会の、委員長提案法だからそうだよとか、世の中の人にはよく分からないルールで、あなた、反対するなら質疑の機会ありません、最後に反対で座っておくだけだ、反対の立場なら、この二十分がもらえるというので、今、実際、賛成の立場で、ここに、質疑に立っているわけなんですよね。
かつ、この賛成の質疑の機会も、前例がないから画期的なことやぞみたいに言われているわけなんですよ。多くの方は分からないでしょうけれども、委員会の理事会というのがあって、陪席出席という、本来出席権のない者ですね、私たちれいわ新選組です。陪席出席を許されているだけの少数会派は、元々発言の機会がない、この質疑も本来は別に与えなくてもいいんだよ、与えないのだが、全会派一致の賛成ならば前例の枠を超えて発言機会を認めていいという話だったので、究極の選択で、政治判断して、賛成の立場で今ここに立って二十分の質疑をしているわけです。
でも、これって、国民の方にとっては、何のこっちゃという話だと思うんですね。少数会派であっても一人の議員であり、委員ですから、そして、この法案、様々、賛成、反対入り交じる法案ですから、積極的に、前例がなかろうとも、反対でも質疑させるべきじゃないかと、なぜならなかったんですか。
それって、賛成なら質疑させてやるだったら、れいわの態度を縛っているじゃないですか、実際にこれは賛成の立場で立っていますから。だけれども、質疑で納得いかなかったら、それでも反対しますけれどもね。それは質疑の意味がないじゃないですか、あらかじめ賛成の立場で、絶対賛成しろよということだったら。それがずっと当たり前になっちゃっているという、そういうおかしな国会だと思うんですよ。
前例がないからということで、今回やむなく賛成の立場でここに立っていますし、法案全体としては、年齢を問わず全体として救済の武器になる、その可能性は大きく評価できると考えました。
しかしながら、まだ質疑や様々意見を聞いていない段階で、賛成でも反対でも同じように質疑の機会を与えられるというのは当然のことだと考えますので、このような、質疑に、賛成でないと縛りが、なかった、縛りというか、それは権利なんだみたいなやり方というのは是非見直すべきだと思いますし、皆さんにも共に考えていただきたいと思います。(発言する者あり)
上野委員長 御静粛にお願いします。
大石 静粛にお願いします。
質問を続けたいと思うんですけれども、本法案の採決後に、附帯決議の採決が行われると思います。その取りまとめの過程で、第三項に、AV出演被害者に対する適切な支援を行うため、被害の実態調査を実施することという文言があると承知しております。
この附帯決議のことは聞けないと先ほどおっしゃられたので、つまり、この附帯決議があるということは、この法案は実態調査をしていないですよねということを言いたいんですけれども、この法案は実態把握をしないまま作られたということが、附帯決議の結果として、決議案の結果として露呈していると思うんですけれども、実際、実態把握をされたんでしょうか。山井議員にお伺いしたいと思います。
山井委員 附帯決議のことは今ここでは議論できないという前提ですけれども、先日も私、厚生労働委員会で、実態調査を早急にやってくれと言いました。
それは、二年後の見直しに向けて、また、この法案ができたことによって被害者が、まあ減るとは期待していますけれども、万が一違った形で増えるとか、そういう二年後の見直しに向けて、私たちがこの法案の足らざる点、そしてよかった点を早急に検証するという意味で、この実態調査をすべきということを先日も私は厚労委員会でも質問いたしましたし、さらに、令和二年の三月実施でAV強要についての調査が行われておりまして、その中で、内閣府によって、非常に深刻な被害が出ているという実態は既に把握をされております。
加えますと、最初は三年後の見直しとなっておりましたけれども、二年後の見直しになって、最終的には二年以内の見直しと私たちさせていただきました。
その理由は、今、大石議員も指摘されましたように、様々な問題点が出てきたときに、実態を把握して早急に早急に被害を食い止められるようにということで、二年以内の見直しとさせていただきましたので、実態を今把握していない、分かっていないということじゃなくて、今後、実態を把握して早急に見直しにつなげるという、前向きに御理解いただければと思います。
大石 そうですね、時間がない中というのはあると思います。しかしながら、キャンセルできる期間というところで、一か月だとか四か月というのが画期的なんだということを、実態把握をしていなかったり、又は当事者でない方々が我が物顔で画期的なんだと言う光景というのは、私は非常に違和感を感じました。
そういった当事者の意見というものが反映されていない、反映し切っていない法案だという限界を真摯に受け止めるべきですし、ましてや、この附帯決議案、ここでの議論の対象外としつこく言われるんですけれども、こういうところから明らかになるわけじゃないですか。共産党が性交禁止も含め検討を行えという願いを込めて入れたところを削除したりしているわけですから。
だから、この超党派で行われていることというのが本当に当事者の救済になるのかということには非常に疑問がありますが、これは、年齢を問わず全体として救済しなければいけないという、世の中の、国会の外の声というものが一定反映された法律なのであろうというふうに私は受け止めますし、山井議員に結構言いましたけれども、すごく救済したいという思いというものは、様々個別にも伺っていて、うそではないというふうには感じました。
しかしながら、もっともっと謙虚になるべきだというところからは、今回、質疑を限定的な形で与えられたという事実ですとか、この附帯決議に見られるような、性交そのものを合法化して商品化しているという、この余りにもおかしくなっている社会そのものにメスを入れるというところには非常に遠いと思います。
そして、これを質疑に入れるということに、またいろいろありそうですけれども、わざわざ性交禁止規定を検討しようと入れたものを削除するという附帯決議には私は反対します。
私の質問は以上です。ありがとうございました。
※衆議院、内閣委員会 会議録より転載