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2022年5月10日【内閣委員会】こども家庭庁設置法案 厚生労働省連合審査

上野委員長 次に、大石あきこ君。

大石 大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。ありがとうございます。 

 先月、四月二十二日に、教職員の数が減らされているという問題を質問しました。現在、この国において、四十人詰め詰めの学級が望ましいとされていること、さらには、特別支援学級に籍を置く生徒をカウントしないことによって、実質的に四十人を超えるクラスも生まれているということを指摘しました。 

 この間の法案審査の中で野田大臣から何度も強調されたこどもまんなか社会、これは、障害の有無を問わず、全ての子どもたちが社会の主人公に据えられる、そのような説明であったと思います。 

 そうであれば、個別の障害や家庭等の事情にも応じたケアができるために、教職員の数を大幅に増やし、専門性のあるカリキュラムやお金をつけていくことが絶対に必要なんです。なのに、今の日本の公教育は、それと余りにもかけ離れた、安上がり、教員削減、これを重視したシステムになっているために、実質的に四十人を超えるクラスが生まれたり、一方で、障害のある子どもたちを一か所に隔離するような極端なやり方が行われています。 

 それでも、学校の現場では、先生や保護者が工夫して、少しでも本来のインクルーシブな教育に近づく実践が行われています。例えば、特別支援学級には発達障害やダウン症など様々な障害を持つ子どもたちが籍を置いていますけれども、その子の状況に応じながら、できるだけ通常学級で共に学べるように、教育課程や指導方法を工夫している学校は少なくありません。その方が子どもたち全員の学びになるという事例がたくさん報告されています。そういった現場の実践をもっと聞いて、文科省が取り入れていかなきゃいけないんですよね。 

 ところが、四月の二十七日、文科省がそれに完全に水を差すような通知を送っていまして、これはこどもまんなか社会とは逆行する動きだと大変驚きました。だから、文科省はその通知を撤回するべきだ、省庁横断の調整を行う内閣府がこれを指摘するべきだと思い、質問いたします。 

 その通知は、四月二十七日、通知名が「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」として、全国の教育委員会などに出されました。特別支援学級に籍を置く生徒が通常学級でより多く過ごすことについて、適切ではないとして、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において授業を行うことと通知しました。 

 これは、週の授業時数の半分以上というのは一体合理的な根拠があるのかと文科省に確認したところ、障害のある子どもの教育支援の手引を踏まえたというんですけれども、この手引は、大半の時間を通常の学級において交流及び共同学習で学び、通常の学級以外での指導時間を相当数確保する必要がないと考えられる場合には、特別支援学級に籍を置かなくていいだろうという内容になっています。これは、つまり、特別支援学級所属ならばそこを中心として学べよ、さもなくば通常の学級に所属しろ、そういう意味を持ちます。 

 冒頭申し上げた、四十人を超える詰め詰めの学級という問題をちゃんと解決するためには、十分な教員と体制を整備して、全ての子どもたちが共に学ぶ学校をつくることが文科省に今求められているのに、いまだ安上がり重視で、硬直的な教員配置を現場に押しつけて、指導の適切な運用を口実に特別支援学級の予算や人員を削ろうとしている、これが文科省の現実になっています。 

 それで、宮路政務官に、共生担当として、この通知をどう受け止めるでしょうか。これは既に現場がかみ合わないということで混乱しているんですけれども、この通知について、内閣府における省庁横断会議などの中で文科省に対して指摘するべきではないでしょうか。 

 

宮路大臣政務官 御指摘の通知につきましては、障害のある子どもに適切な指導を提供するため、障害者権利条約を踏まえ、一つには、障害のある子どもと障害のない子どもが可能な限り同じ場で教育を受けられるような条件整備を行うこと、これは、おっしゃるインクルーシブ教育、大変重要な視点だと思います。一方で、一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える学びの場の提供、つまり障害の状態等に応じた学習を十分に受けることも同時に必要です。そうした二つのニーズのバランスを取りながら、文部科学省の方で、先月、御指摘の通知を発出したものというふうに承知をしております。 

 内閣府としてということでしたので、内閣府としては、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現、これが大変重要であると共生担当の政務官として考えております。したがいまして、そうした考えに基づいて、関係省庁と連携して、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。 

 

大石 そのしっかりとというのは、この件に関して、何かその通知に関して問題があるんじゃないのかということで動かれるということなんでしょうか。 

 

上野委員長 持ち時間が過ぎておりますので、宮路政務官、簡潔にお願いします。 

 

宮路大臣政務官 先ほど御答弁申し上げたとおり、二つのニーズ、これのバランスを取った結果の通知だというふうに理解しておりますが、教育的な視点と、あと共生の視点と、双方バランスが大事だと思っておりますので、そこは共生担当として文科省とも連携を図ってまいりたいと思います。 

 

大石 バランスというよりは、四角四面に、どっちにカウントするんやという内容ですので、これはバランスでもなくて、現場実践とかけ離れたものですので、必ずこの通知について対応していただきたい、現場の実態について確認していただきたい、絶対に取り組んでいただきたいです。 

 時間が過ぎましたけれども、大幅な教員増に踏み切ることなしにこどもまんなか社会というものは訪れませんので、引き続き、学校教育の定数削減、予算削減の傾向を止めるべく、追求していきたいと思います。 

 質問を終わります。ありがとうございました。

 

※衆議院、内閣委員会 会議録より転載

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