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2022年4月15日【内閣委員会】道路交通法について

上野委員長 次に、大石あきこ君。

大石 れいわ新選組の大石あきこです。ありがとうございます。

 道路交通法の一部を改正する法律案について御質問いたします。

 まず、今回の法案に盛り込まれているいわゆる自動配送ロボット、それから電動キックボード、法的には遠隔操作型小型車と特定小型原動機付自転車ですけれども、人々のより便利な暮らしや楽しい生活に結びつくはずのものです。先日、試乗会も委員会で開催され、私も参加しましたけれども、十分に広いスペースで安全な場所で行われた場合に、小型の配送ロボット、かわいらしかったですし、キックボードも楽しそうですし、そういう形で、楽しそうだ、状況によっては楽しい生活に結びつくはずのものだ、そのようには思います。

 でも、現状が伴っていないのではないか、そのように思います。現状、安全が守られない、担保されないという仕組みによって、重大な事故が発生して新たな犠牲者が生まれるのでは、何のための技術革新なのかということになってしまいます。

 実際に、交通事故の被害者八団体が、自動配送ロボットの公道、歩道の交通安全について、重大な危惧を抱いているということです。

 具体的には、例えば、歩行者がロボットを避けるために車道に降りて自動車と衝突するおそれがあるということ、それから、悪天候時にセンサーが正しく作動せずに歩行者の存在を正しく認識できないおそれがある、また、ハッキングされ暴走した場合に危険が発生するおそれがある、そして、一人で複数人のロボットを監視、操作している場合に多重事故に対応できないおそれ、そういったことをおっしゃっています。

 そして、本日でも、立憲民主党の方や有志の会の方、様々な方がおっしゃいまして、命と安全が守られるようにということなんですけれども、守られないということが分かったのではないでしょうか。

 お尋ねします。自動配送ロボット、遠隔操作型小型車についてお伺いします。遠隔操作者が酒気帯びや居眠り、過労などの状態で操作を行った場合、何の法令で裁かれるのでしょうか。

二之湯国務大臣 今回の改正案では、遠隔操作が適切に行われるよう、遠隔操作を行う者に対して、遠隔操作型小型車を確実に操作し、安全に通行させる義務を課すことといたしております。

 その上で、飲酒や過労の状態での遠隔操作を行うことを禁止する旨を業界団体が作成するガイドラインにおいて定めるよう、業界団体に働きかけてまいります。

大石 働きかけのみ行うということです。

 また、お尋ねします。遠隔操作型小型車が人を死傷したり物を壊したりした場合に、何の法律で裁かれるんでしょうか。

二之湯国務大臣 個別の事情によりますけれども、道交法のほか刑法の適用も考えられる、こういうことでございます。

大石 道交法が適用されるというお答えでよろしいですか。

二之湯国務大臣 個々の事情によりまして、道交法のほか刑法の適用も考えられるということでございます。

大石 更にお尋ねします。遠隔操作型小型車が何らかの理由によって暴走してしまった場合でも、人や物に危害が生じない限り、法的責任を問われないということでよろしいでしょうか。

二之湯国務大臣 先ほどもお答えいたしましたが、今回の改正案では、他人に危害を及ぼさないよう、遠隔操作を行う者に対して、遠隔操作型小型車を確実に操作し、安全に運行させる義務を課すとともに、歩行者の通行を妨げることとなるときは進路を譲らなければならないことといたしております。

 今お尋ねのように、遠隔操作型小型車が歩行者に危険を生じさせる走行をした場合には、これらの義務に違反することとなりますので、都道府県公安委員会は、必要に応じ、使用者に対して指示をすることになるわけでございます。この指示に従わなかった場合には罰金が科されることとなっております。

大石 人や物に危害が生じた場合にというお答えでしたけれども、人や物に危害が生じない限り、通常の運転とは全く違うレベルで、法的責任を何ら問われないという、そのような状態になっています。

 そして、先ほどの委員の、有志の会の質問でもありますように、自賠責の加入義務がないということで、非常に……(発言する者あり)任意保険が義務がなく、なるべくだとおっしゃっているということでした。失礼いたしました。

 このような状況の中で、先ほどからの質問でも、法律的に歩行者と同等ならばよいのだ、だから歩行者扱いにするというような法律になっている。でも、この自動配送ロボットは歩行者ではない。一つには、運転に限りなく近いものである、それから、もう一つには、じゃ、電動車椅子はどうなんだ、同様じゃないかとおっしゃるかもしれませんが、これは人に必要な移動とは異なって、配送ロボットという基本的にビジネスで行うものです。そのようなものにここまでの規制緩和を行うというのはおかしいと思います。

 そして……

上野委員長 時間が来ております。

大石 時間が、はい。そうしたら、討論のところに回します。

 質問を終わります。ありがとうございました。

 

 

【討論】

上野委員長 次に、大石あきこ君。

大石 れいわ新選組の大石あきこです。

 私は、道路交通法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 反対の理由の第一は、交通事故被害者八団体が、自動配送ロボットの公道、歩道の交通安全について重大な危惧を抱いているという点です。具体的には先ほど述べましたので省略いたします。

 こういった団体の訴えというのは非常に切実ですし、それらの具体的懸念に対して、本法案は対策を盛り込んでおりません。

 反対理由の第二は、自動配送ロボットや電動キックボードの操作が運転とほぼ同様にあるにもかかわらず、その位置づけが歩行者に準じたものであるために、安全責任に関する義務が極めて曖昧になっている点です。

 人にけがを負わせたり物を壊したりしても、業務上過失致死や器物損壊に問われるだけであり、道路交通法上の責任が問われません。本法案が道交法改正案であるにもかかわらず、致命的欠陥、矛盾と言えます。

 反対理由の第三は、本法案によって推進される規制緩和が人々の幸福に本当に結びつくのかという点です。

 科学技術は、本来、生活者の暮らしを豊かにするためにあるべきです。本法案に盛り込まれた自動配送ロボットも電動キックボードも、人々のより便利な暮らしや楽しい生活に結びつくはずのものです。しかし、それによって重大な事故が発生して新たな犠牲者が生まれるのでは、何のための技術革新なのかということになってしまいます。

 そして、コロナ禍で人々が外食を控えざるを得ない中、ギグワーカーと言われる食品配送労働者たちが外食産業を下支えしてきました。しかし、彼ら彼女らは労働者としての基本的権利を奪われており、仕事中にけがをしても労災保険も受けられません。自動配送ロボットの技術レベルが上がれば、そうした労働者はやがてロボットに置き換えられ、職を失うかもしれません。私たちは交通事故被害者や被解雇者を増やすためにイノベーションをやっているのでしょうか。本法案はその懸念を払拭する内容になっているとは到底思えません。

 本法案に対して改めて反対の意を表し、討論といたします。

 これで終わります。

 

※衆議院、内閣委員会 会議録より転載

 

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