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2022年3月25日【内閣委員会】経済安保法について(審議①)

上野委員長 次に、大石あきこ君。

 

大石 ありがとうございます。れいわ新選組、大石あきこです。

 経済安全保障法案について御質問します。

 先ほど、維新の堀場委員、それから共産党の方もいろいろお聞きになっていましたけれども、この法案でいう同志国とはどこですか、そういうことを聞かれていて、答えが、一般に外交課題の目的を共にする国だ、一覧にはないんだとおっしゃっているんですけれども、さすがに、アメリカですか。

小林国務大臣 アメリカは同盟国だと思います。

大石 この法案でいう同志国とは、アメリカでよろしいですね。

小林国務大臣 この法案に同志国という言葉は直接盛り込んではいないところでございます。

大石 大臣が何度も御説明されているこの法案の重要な軸の1つである同志国との協力拡大、深化とおっしゃっているところの同志国がアメリカですね。もう一度確認します。

小林国務大臣 どうもありがとうございます。

 私が、同志国との連携という言葉も使うことがあります。ただ、委員にちょっと認識として御理解いただきたいのは、まず、同志国との連携があるわけではないんです。自分の軸がないままに同志国と連携、連携というと言葉はいいですよ、でも、自らの判断軸がないまま同志国と連携したときに、結果としてただの追随になりかねない。そういう国であってはいけないので、自分たちの、日本なりの経済安全保障の基軸となる考え方を今回しっかりと打ち出していこう、そういう思いでやっています。

 この法案はその一部でしかないんですけれども、なので、今日この場で何度か申し上げましたが、まずは我が国自身の分析が必要だと思っています。それは、自律性と優位性、不可欠性と申し上げていまして、簡単に言うと、弱みと強みです。弱みを把握して解消する……(大石委員「もう」と呼ぶ)分かりました。そういう中で、いきなり連携ということではないということは御理解いただければと思います。

 同志国については、先ほど外務省からも説明があったんですが、同志国という用語は、一般に、ある外交課題において目的を共にする国を指す言葉として用いられると承知をしております、日本政府としても、それぞれの外交課題について日本と目的を共有する国を同志国として協力関係を築いていると。

 その上で、経済安全保障の文脈で申し上げますと、例えば、日米豪印、いわゆるクアッド、この連携ですとか、G7などの枠組みを活用して、サプライチェーンの強靱化、あるいは重要技術の育成、保護、あるいは同盟国、同志国との協力の拡大、深化を図ってきているというところでございまして、アメリカは同志国といえば同志国、でも、通常は同盟国というふうに言うと思います。

大石 率直に言うと、この法案で何度も大臣が御説明されている同志国というのは、アメリカはそうだよ、単に追随じゃ駄目なんだよというふうにもおっしゃったのか、おっしゃっていないのか、ちょっと分からなかったです。

 なので、率直に伺いますが、今回の経済安全保障法案の立法事実として、アメリカ政府が日本政府に求めてきているからですか。

小林国務大臣 今申し上げたことと重なるところはあるんですけれども、結論としては、違います。

 アメリカがやるから日本がやる、私はそういうのは主権国家の在り方だとは思いません。もちろん、連携するところはありますよ。

 私の問題意識は、別に、アメリカ、例えば、私が大臣に、自民党の中で経済安全保障の議論をしてきました。バイデン政権になって、昨年、サプライチェーンの強靱化ということで打ち出しました。でも、日本はそれを、アメリカがサプライチェーンの強靱化をやるから、日本も、じゃやろうというわけではないんですよ。そのもっと前から、我が国の基軸をつくらなきゃいけないということで、脆弱性分析をやっていて、サプライチェーンも強化しなければいけないということをやっていて、そういう流れの中でやってきた。

 当然、今、コロナ禍で全世界がかなり厳しい状況に置かれて、サプライチェーンの問題というのはかなり広く共有されるようになってきたので、結果として、サプライチェーンの強靱化をアメリカやヨーロッパ、ほかの国もやるようになっていますけれども、アメリカがやっているから日本がやるというのではないということは明言しておきたいと思います。

大石 そうはいいましても、アメリカ政府に求められたからなんじゃないかな、明らかなんじゃないかなと思うんですけれども。

 2021年の4月16日に、菅元総理とバイデン大統領が、日米首脳会談が行われて、そのとき、「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」と題する共同声明を日米が発表しました。その中に、明らかに対中国を念頭に入れながら経済安全保障という言葉が出されています。日米両国の安全に不可欠な重要技術であるとか、半導体を含む機微なサプライチェーンですとか、知的財産保護に向けた協力など、まさしく、この法案の重要項目を盛り込んでいることなんですね。

 ですので、この法案の立法事実が米国からの要請であることは明らかだろうなと思ったんですけれども、違うということですので、追随ではないとおっしゃっているので、追随したらあかんという今回の私のテーマですので、もしかしたら、そうだとなるかもしれないです。

 この政策の中には、文字だけを見ると、一理あるものもあると思うんですね。例えば、半導体の確保でいえば、半導体は、日本に住むどころか、世界で全ての人々に欠かせない重要物資ですし、また、知的財産でいっても、当然軍事に使われたくはないし、さらには、通信業で、信頼できない業者を入れましょうとはなりませんし。

 しかし、米国側の求めに対応していないとおっしゃっているんですけれども、いろいろ米国側の求めに対応してきた経過があると思うんです。それで、そういう方向でこういうことをやったとしても、国内で既に起きてきた危機に対応できないと思っているんです。

 つまり、例えば、半導体の供給確保という面で考えても、アメリカ追随、対中対抗でやろうとするのは、完全にあさっての方向又は逆方向ではないかと。その一例を、日本政府と東芝という日本株式会社の歴史から考えてみたいと思います。

 東芝の半導体事業の栄枯盛衰を見ると、東芝自体の失策もあるし、株主至上主義による敗北もあるし、アメリカから強いられた協定が半導体事業の衰退に影響したと考えられるんです。

 まずは、導入として、資料1を御覧ください。


 ちょうど昨日、東芝の臨時株主総会が開かれました。株主総会では、東芝が示した上場企業としての生き残り案、上場会社2社体制計画というものが株主総会で否決されました。大株主の投資ファンドなどが反対したからです。

 一方で、大株主側からリストラ策も提案されていまして、東芝の株をもっとファンドに売却せい、非上場化して経営再建を図れという、そういうリストラ案も提案され、これはこれで否決されているんですけれども、今後、東芝は物言う株主の意向を踏まえた修正が避けられそうにない現状です。

 このように、資本や機関投資家が国境を越えて我が物顔で振る舞う現在において、会社は容赦なく買収や分割にさらされますし、その目的は資本家や株主の利益です。

 この話はつい昨日のことなんですけれども、東芝は既に、2017年に半導体メモリー部門を売却する事態になっています。

 簡単に、半導体とはについても、資料2を御覧ください。

半導体は、とても大事なものです。電気を通したり通さなかったりする物質ということで、もう皆さん御存じのとおり、スマートフォンやパソコンのCPUですとか、自動車、又はメモリー、センサー、パワー半導体と、様々いろいろなところに使われて、誰にとっても今や欠かせない重要な物資であることは間違いありません。

 東芝はフラッシュメモリーを発明したことで知られていますが、東芝の半導体事業に関する経過を簡単に年表にまとめました。資料3を御覧ください。


 1980年代に東芝がフラッシュメモリー、東芝の舛岡さんという方が発明された、半導体素子を利用するメモリーなんですけれども、1986年に日米半導体協定が交わされて、そこから、日本はダンピングをするなとか、米国製品の国内シェアを拡大せいなどを求められて、そこから日本の半導体の成長が急速に鈍化したんだと産経の記事で述べられています。

 それから、1992年になると、東芝は、NANDフラッシュメモリー技術を、市場の拡大のためとしてサムスン電子に供与しました。

 そこから、2004年、さっき出てきた東芝の舛岡さん、フラッシュメモリーを発明された方が、半導体が正確に評価されなかったとして、自分の発明の正当な評価を求めて、雇用主であった東芝を相手取って裁判を起こされました。2006年に和解されたということなんですけれども。

 そして、2011年、半導体生産拠点の北九州工場を始めとして3つの工場を閉鎖すると東芝は発表しました。その工場の閉鎖に伴って、1700人が離職や配置転換を余儀なくされたといいます。

 2016には、東芝の決算発表によって、過去最大となる営業赤字などを記録しています。

 そして、2018年、臨時株主総会で半導体メモリー事業の売却が可決して、現在、東芝じゃなくてキオクシアという会社になっています。

 このキオクシアについて、資料4を御覧ください。

 ダイヤモンド・オンラインの記事なんですけれども、半導体大手のキオクシアホールディングス、東芝から切り離されて、米投資ファンドのベインキャピタルを中心とした日米韓連合の傘下に入った、米国のファーウェイ制裁強化で出荷停止の打撃を受けて、予定していた新規株式上場が延期になった、そういう報道がありました。

 ここまで見てきて、改めて東芝の半導体事業の栄枯盛衰を見ると、東芝自体の失策もあったし、株主至上主義による敗北もあるし、そして、1986年にアメリカから強いられた日米半導体協定が半導体事業の衰退に影響したと考えられるんですが、ここで御質問します。

 この1986年の日米半導体協定が日本の半導体事業の衰退の要因になったというお考えはありますか。分析されていますか。イエスかノーかでお答えください。

小林国務大臣 この件につきましては、個別企業の件なので、お答えすることは差し控えたいと思います。

 この東芝の話だけではなくて、日本の半導体産業全般につきましては、経済産業省がまさに今、この再興に向けて様々な戦略を練っているところではございますけれども、これは、委員御指摘の、様々なアメリカとの関係だけではなくて、垂直統合から水平分業への移り変わりが遅れたとか、あるいは、デジタルを含めて、これは供給サイドだけやればいいというものじゃないと思います、市場をどうやって新たな市場をつくっていくかというところで、やはり、なかなかそこがうまくいかなかった。多分、様々な要因が重なった結果、今、半導体の市場の、世界のマーケットのシェアが、1980年代後半には50%日本が占めていたのが、今、足下では1割を切る水準になっている。そういうところにつながっていった。これは私個人の認識でございます。

大石 この協定もマイナスの方には影響したのではないかということだったんでしょうか。

小林国務大臣 様々な要因が複合的に重なったんだと思っています。

大石 今回の法案を制定することによってそういった問題が解決できるというふうにお考えなんでしょうか。

小林国務大臣 これは何度も申し上げているんですが、この法案だけで経済安全保障全てを語れるわけではないと思います。ただ、委員御指摘のとおり、この半導体産業というのは、これからデジタルとかグリーンとかいろいろ社会が変わっていく中で、これはもっともっと重要になってくると思います。

 この法案は、その半導体産業、私は日本の半導体産業を復活させなきゃいけないというふうに思っていますけれども、この法案を通しただけでそこにダイレクトにつながるというわけではなくて、もっと大きなピクチャーが必要だと私は思います。少なくとも十年ぐらい先を見据えた戦略、これは、今まさに萩生田経済産業大臣の下でいろいろ考えられていると思います。

 少なくとも言えるのは、今回、TSMC、今委員の資料の中に先端ロジック半導体がありましたけれども、その先端ロジックの製造拠点がこれまでなかった、日本には。それが、TSMCが今回投資をしてくれた。そこでミッシングピースが埋まったわけですよね。それがまず第一歩だと思います。

 そこで、じゃ、半導体産業、それで終わりかというと、そこだけやればいいかというと、もう今からその先を考えなきゃいけなくて、じゃ、次世代のロジック半導体、次世代半導体はどうするんだ、日本だけでできるのか、やはりアメリカを含めたところと連携していく必要があるんだろうと私は思います。

 また、更にその先を見据えて、光電融合を始めとした、そういうゲームチェンジャー的な技術をどう日本が育成して、まさに国際社会の不可欠性となっていくのか。その安定供給の供給サイドの話と、先ほど申し上げた、今度は同じ失敗を繰り返さないということで、新たなマーケットをどうつくっていくのか。ユーザーサイドの視点に立って、このマーケットのつくり方、これも全て合わせた上でのパッケージというものを、私は経済産業省が今中心になって検討しているというふうに考えています。

 そういうピクチャーがある中で、今回、このサプライチェーンのパーツというのが入っています。サプライチェーンのパーツの中の特定重要物資というものをどう指定していくのかというのは、これはこれからの指針の策定と閣議決定によることになるんですけれども、少なくとも、去年の骨太2021におきまして、先行重要項目としてこの半導体というのを位置づけているということは付言しておきたいと思います。

大石 うまいことおっしゃるので、うまいこといくかもしれんと思う人がいるかもしれませんけれども、やはりこういった具体的な、東芝自体の失策もあるでしょうし、株主至上主義による敗北もあるでしょうし、アメリカによる強いられた協定の面もあるでしょうし、ここはこうだったとか、ここはこう乗り越えていくんだとか、これはあかんかったとか、この協定はあかんかったとか、そういう話がないと次に進まないんじゃないのかなと思ったんですけれども、半導体だけではないので、また進んでいきたいと思うんです。

 また東芝を引き合いに出すことになるんですけれども、東芝の原発事業です。

 日本の国策とともに歩んだ結果、2006年にアメリカにつかまされて大損をし、さらに、半導体事業を売って存亡を図るという事態にまでなったというお話です。

 東芝はなぜ経営危機に陥ったのかというインタビューで、東芝の元副社長の川西氏は次のように語っています。東芝の危機のもう1つの大きな原因が海外企業との関係です、米国のウェスティングハウス買収は、経験値からして無理があったのではないでしょうかと、東芝の元副社長御自身がそのように言っているんです。

 資料5に、経緯を年表にしました。


 ダイヤモンド・オンラインの記事なんですけれども、半導体大手のキオクシアホールディングス、東芝から切り離されて、米投資ファンドのベインキャピタルを中心とした日米韓連合の傘下に入った、米国のファーウェイ制裁強化で出荷停止の打撃を受けて、予定していた新規株式上場が延期になった、そういう報道がありました。

 ここまで見てきて、改めて東芝の半導体事業の栄枯盛衰を見ると、東芝自体の失策もあったし、株主至上主義による敗北もあるし、そして、1986年にアメリカから強いられた日米半導体協定が半導体事業の衰退に影響したと考えられるんですが、ここで御質問します。

 この1986年の日米半導体協定が日本の半導体事業の衰退の要因になったというお考えはありますか。分析されていますか。イエスかノーかでお答えください。

小林国務大臣 この件につきましては、個別企業の件なので、お答えすることは差し控えたいと思います。

 この東芝の話だけではなくて、日本の半導体産業全般につきましては、経済産業省がまさに今、この再興に向けて様々な戦略を練っているところではございますけれども、これは、委員御指摘の、様々なアメリカとの関係だけではなくて、垂直統合から水平分業への移り変わりが遅れたとか、あるいは、デジタルを含めて、これは供給サイドだけやればいいというものじゃないと思います、市場をどうやって新たな市場をつくっていくかというところで、やはり、なかなかそこがうまくいかなかった。多分、様々な要因が重なった結果、今、半導体の市場の、世界のマーケットのシェアが、1980年代後半には50%日本が占めていたのが、今、足下では一割を切る水準になっている。そういうところにつながっていった。これは私個人の認識でございます。

大石 この協定もマイナスの方には影響したのではないかということだったんでしょうか。

小林国務大臣 様々な要因が複合的に重なったんだと思っています。

大石 今回の法案を制定することによってそういった問題が解決できるというふうにお考えなんでしょうか。

小林国務大臣 これは何度も申し上げているんですが、この法案だけで経済安全保障全てを語れるわけではないと思います。ただ、委員御指摘のとおり、この半導体産業というのは、これからデジタルとかグリーンとかいろいろ社会が変わっていく中で、これはもっともっと重要になってくると思います。

 この法案は、その半導体産業、私は日本の半導体産業を復活させなきゃいけないというふうに思っていますけれども、この法案を通しただけでそこにダイレクトにつながるというわけではなくて、もっと大きなピクチャーが必要だと私は思います。少なくとも十年ぐらい先を見据えた戦略、これは、今まさに萩生田経済産業大臣の下でいろいろ考えられていると思います。

 少なくとも言えるのは、今回、TSMC、今委員の資料の中に先端ロジック半導体がありましたけれども、その先端ロジックの製造拠点がこれまでなかった、日本には。それが、TSMCが今回投資をしてくれた。そこでミッシングピースが埋まったわけですよね。それがまず第一歩だと思います。

 そこで、じゃ、半導体産業、それで終わりかというと、そこだけやればいいかというと、もう今からその先を考えなきゃいけなくて、じゃ、次世代のロジック半導体、次世代半導体はどうするんだ、日本だけでできるのか、やはりアメリカを含めたところと連携していく必要があるんだろうと私は思います。

 また、更にその先を見据えて、光電融合を始めとした、そういうゲームチェンジャー的な技術をどう日本が育成して、まさに国際社会の不可欠性となっていくのか。その安定供給の供給サイドの話と、先ほど申し上げた、今度は同じ失敗を繰り返さないということで、新たなマーケットをどうつくっていくのか。ユーザーサイドの視点に立って、このマーケットのつくり方、これも全て合わせた上でのパッケージというものを、私は経済産業省が今中心になって検討しているというふうに考えています。

 そういうピクチャーがある中で、今回、このサプライチェーンのパーツというのが入っています。サプライチェーンのパーツの中の特定重要物資というものをどう指定していくのかというのは、これはこれからの指針の策定と閣議決定によることになるんですけれども、少なくとも、去年の骨太2021におきまして、先行重要項目としてこの半導体というのを位置づけているということは付言しておきたいと思います。

大石 うまいことおっしゃるので、うまいこといくかもしれんと思う人がいるかもしれませんけれども、やはりこういった具体的な、東芝自体の失策もあるでしょうし、株主至上主義による敗北もあるでしょうし、アメリカによる強いられた協定の面もあるでしょうし、ここはこうだったとか、ここはこう乗り越えていくんだとか、これはあかんかったとか、この協定はあかんかったとか、そういう話がないと次に進まないんじゃないのかなと思ったんですけれども、半導体だけではないので、また進んでいきたいと思うんです。

 また東芝を引き合いに出すことになるんですけれども、東芝の原発事業です。

 日本の国策とともに歩んだ結果、2006年にアメリカにつかまされて大損をし、さらに、半導体事業を売って存亡を図るという事態にまでなったというお話です。

 東芝はなぜ経営危機に陥ったのかというインタビューで、東芝の元副社長の川西氏は次のように語っています。東芝の危機のもう一つの大きな原因が海外企業との関係です、米国のウェスティングハウス買収は、経験値からして無理があったのではないでしょうかと、東芝の元副社長御自身がそのように言っているんです。

 資料五に、経緯を年表にしました。

2006年に、東芝は、原子力発電設備メーカー大手である米国ウェスティングハウスをイギリスの英国核燃料会社から約6400億円で買収。ウェスティングハウスの純資産3000億円と言われたときに6400億円で何で買収したんやと、ほかの事業者からもびっくりされたそうです。

 その後、2015年に東芝の粉飾決算で不正会計が発覚。2016年12月には、ウェスティングハウスの原発事業による巨額損失を公表。はしょっていますけれども、ウェスティングハウスが子会社にした会社が物すごい借金をしていて、それもしょい込むことになるなど、いろいろてんやわんやがありました。

 2018年の3月にはウェスティングハウスは破綻し、東芝は、この3月期に国内製造業で過去最大となる約1兆円の赤字を出し、債務超過に転落しました。

 背景として、買収当時、米国は30年にわたって原発の新設がなく、米国はウェスティングハウスの処理に困っていたと言われています。一方、日本の経産省は成長戦略として原発輸出を挙げていた、その日米の意向がマッチしたことが大きな理由だったんじゃないでしょうか。

 でも、これはよいマッチングなんでしょうか。完全にばばをつかまされとるがなと。これは私の口が悪いんじゃなくて、ダイヤモンド・オンラインですとか、2017年に各種メディアが、ばばを引いたと報じているんですね。

 経産省は、3.11の原発事故以降も原発輸出を推進しています。東芝が、経産省の後押しを受けて、海外での原発建設で稼ぐ青写真を描いていたことは明らかです。

 しかし、世界では、3.11以降は、脱原発にかじを切る国が現れたり、各国安全規制が一段と強化されて、原子力事業はリスクの高いビジネスになっていました。米国でも建設費が高騰して、元々負債を抱えていたウェスティングハウスは破綻したわけです。東芝は、いわば政府の政策に寄り添い続けて、それでアメリカにばばを引かされて債務超過に転落したと言えます。

 これらの事例で言える大事なことは、この被害を被るのは国民であり労働者なんです。国民、労働者の経済安全性というのが逆に脅かされてきたと言えます。

 大臣に伺います。

 この件、国民と労働者の経済安全性を守る観点から、日本政府の在り方に反省点があると思われますか。簡潔にお答えください。

小林国務大臣 簡潔にお答え申し上げます。

 個別企業の件についてお答えすることは差し控えたいと思いますし、週刊誌の報道の御発言がありましたけれども、それについても、一つ一つ発言させていただくことは控えたいと思います。

大石委員 個別企業のことではなくて政府のことを言っているんです。

 当時、買収の陰に経産省がいて、とにかく日本勢に買え買えとうるさかったと東芝の交渉担当幹部が後に発言されています。旗振り役は、当時の貿易経済協力局の海外戦略担当審議官である今井尚哉氏であったそうで、後の安倍政権を支えた首相補佐官です。

 このような政府の失敗への反省と道義的責任を明らかにしないと、経済安保は、非常にうまい言葉をいろいろ使われているんですけれども、言葉だけで、国民と労働者の経済の安全性は脅かされるばかりです。

 実際に、政府にも与党にも、そして維新にも反省がないから、先日と本日の委員会において、経済安全保障の観点から原発の再稼働などといった、勘違いも甚だしい質疑がありましたが、大臣に伺います。

 戦争リスクが高まっているというならば、標的にされ得る原発、この再稼働は安全保障上のリスクをかえって高めることであると考えますが、原発が標的にされるリスクがあるかないかでお答えください。

小林国務大臣 様々なリスクが考えられ得るとは、いろいろ考えることは大切だと思いますけれども、これは、先ほど足立委員からの質問に答えさせていただきましたとおり、経済安全保障という観点からは、やはりエネルギーは極めて重要なんですよ。ほかにも、金融とか物流とか、重要な産業はたくさんあります。でも、特に今の時代、エネルギーや情報通信というのはほかの産業のまさに基盤となるので、エネルギーの安定供給をどう確保していくのかというのは、経済安全保障で、私が国益の3つ、挙げさせていただいていますけれども、そのうちの1つである国民の命と身体と財産を守る、国民の暮らしを守る、経済的な繁栄を実現する、その中で不可欠なものだと思っています。

 そうした観点からは、今、これらの要素を全て満たす単一の完璧なエネルギー源がない現状では、安全性の確保を大前提とした上で、原子力発電所の再稼働を着実に進めることが重要だと考えています。

大石委員 原発が標的にされるリスクがあるかないかと聞いたんです。あるというようなことを言っているのか、ちょっと分かりませんでした。

 でも、危険なもので、原発のリスクがあるんです。危険なもので安定供給は無理じゃないですか。経済安全保障で安定供給とおっしゃるんですけれども、安全保障の経済的手段としての経済安全保障、危険なもので安定供給は無理です。

 3.11から既に11年がたちますが、その間、先ほど安定的なエネルギーがないみたいにおっしゃったんですけれども、11年たって、その間もエネルギー確保に本気で向き合ってこなかったという結果だと考えます。

 以上のことから分かるのは、この法案の重要な軸として掲げていること、様々なことが悪い冗談でしかないということです。

 さっき、同志国はアメリカで、追随は駄目だっぽいことを言ったと思うんですけれども、是非、アメリカ追随、そして自国の失策を反省しないということを改めていただきたい。国民の安全保障にとって逆方向のことは是非やめていただきたいです。

 時間がなくなりましたか。また続きを来週したいと思います。

 ありがとうございました。

 

 

※衆議院、内閣委員会 会議録より転載

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